大規模災害時に、都道府県の枠を超えて広域的に即応する警察の災害対策専門部隊(略称は広緊隊)。各都道府県警察の機動隊員、交通機動隊員等で構成され、災害発生時に、被災地都道府県公安委員会の派遣要請を受けて派遣される。
1995年(平成7)1月に発生した阪神・淡路大震災時の対応上の教訓を踏まえ、広域的に即応でき、高度な救出救助能力と自活能力を有する部隊として、同年6月に創設され、必要な車両・装備資機材が整備された。救出救助等を行う警備部隊(2600人)と、緊急交通路の確保等を行う交通部隊(1500人)に、2005年(平成17)に発生したJR福知山(ふくちやま)線脱線事故を受けて、遺体の検視や遺族対策にあたる刑事部隊(600人)が加えられた。刑事部隊は、2011年の東日本大震災を受けて1500人となり、全体で約5600人となっている。広域緊急援助隊は、先行情報班、救出救助班、交通対策班、検視・遺族対策班等に分かれ、ヘリコプター等により迅速に被災地に赴き、被害情報の収集、被災者の救出救助、行方不明者の捜索、緊急交通路の確保等の活動を行う。警備部隊には、とくに高度な救出救助能力を有する特別救助班(Police Team of Rescue Experts、通称P-REX(ピーレックス))約240人が含まれる。
大規模災害時には、広域緊急援助隊を中核とし、広域警察航空隊、機動警察通信隊等を含めた即応部隊が発生直後に派遣され、一定期間経過後に、捜索、警戒、交通整理・規制、パトロール、相談対応等にあたる一般部隊が必要に応じて派遣される(即応部隊と一般部隊をあわせて警察災害派遣隊という)。
広域緊急援助隊を含む警察災害派遣部隊は、東日本大震災のような大災害時だけでなく、地震や大雨等の災害時に、ほぼ毎年のように派遣されている(たとえば、2021年7月の静岡県内の大雨による災害では、延べ4000人を超える部隊が派遣された)。
[田村正博 2023年2月16日]
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