日本大百科全書(ニッポニカ) 「底痕」の意味・わかりやすい解説
底痕
ていこん
おもに砂岩層の底面にみられるさまざまな堆積(たいせき)構造。ソールマークsole markともいう。これは砂岩層の直下の泥岩層が、未固結の状態で海底面にあるときに、水流の影響でえぐられた跡や底生生物がはい回った跡に、砂が埋まり、できたものである。これらの砂と泥が固結したのち、泥岩の部分が選択的に侵食されて砂岩層の底面が露出したときにみられる。つまり砂岩層の底面の模様はキャストcast(鋳型)として残っているものである。泥の表面にできた模様はマークとよばれる。
底痕には、いくつかのタイプがある。水流によってできるものとしてはフルートキャストflute cast、リルマークrill markなどがある。フルートキャストは混濁流(乱泥流)堆積物中の級化層理を示す砂岩層の底面に多くみられ、堆積物が運ばれてきた向きを示す証拠となる。礫(れき)や化石などの物体が流されてできた跡を埋めたものとしてグルーブキャストgroove castがある。また水流によらず、泥層の上に砂層がのるときの差別荷重によるロードキャストload cast(荷重痕)も底痕の一種である。
[村田明広]