建築化照明(読み)けんちくかしょうめい(その他表記)structural lighting

改訂新版 世界大百科事典 「建築化照明」の意味・わかりやすい解説

建築化照明 (けんちくかしょうめい)
structural lighting

室内装飾の一部として,天井や壁に配置された照明手法で,建築構造と一体化して照明器具を建築内に納めているので,外観上は見えない。このような照明手法は,建築設計の段階から並行して計画する必要がある。おもな手法として次のようなものがある。(1)コーブ照明 上壁部の棚状の出っ張りやくぼみに隠された光源で天井と上壁部を照射する間接照明方式で,柔らかい光が得られる。(2)コーニス照明 壁際の天井に取り付け,壁と平行な板で覆われた光源により,壁面を照らす照明方式で,壁,カーテン,窓などを美しく表現する。(3)バランス照明 壁の上部で,壁と平行な板により光源を覆う照明方式で,カーテン,タピスリーの照明や,ちょっとした読書などの照明に役だつ。このほかに,光天井半透明の透光パネルを天井全面に張り,その上部に光源を配置した直接照明方式で,拡散光により快適な視環境が実現する),ルーバー天井(格子状のルーバーを天井全面に張り,その上部に光源を配置した直接照明方式で,斜めに見上げても光源が見えず,直下照度は高い)などの手法があり,いずれも蛍光灯が賞用されている。
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家とインテリアの用語がわかる辞典 「建築化照明」の解説

けんちくかしょうめい【建築化照明】

建物と一体化させた照明。照明器具を天井や壁などに組み込み、建築デザインとの調和を図るもの。光源が直接見えないためにグレア(不快なまぶしさ)の防止にもなり、壁面や天井を照らすことで空間を広く感じさせる効果もある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「建築化照明」の意味・わかりやすい解説

建築化照明
けんちくかしょうめい
architectural lighting

建築物の一部として天井や壁などに照明器具を組込み,あたかも建築部材そのものが照明装置であるかのように見せる方法。代表的なものに光天井,コーブ照明,コーニス照明などがある。

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世界大百科事典(旧版)内の建築化照明の言及

【照明】より

… 配光別では,間接照明(下向きの光が10%以下),半間接照明(10~40%),全般拡散照明(40~60%),半直接照明(60~90%)および直接照明(90%以上)の5種に分類されるが,後3者がよく用いられる。 建築と一体化した建築化照明は,長時間作業したり,雰囲気を重視する部屋に用いられ,天井全面に金属またはプラスチックのルーバーを張ったルーバー天井,乳白または透明プリズム模様のアクリルカバーを全面に張った光天井,天井取付設備機器(照明器具,スピーカー,火災感知器,スプリンクラーヘッド,空調吹出口,吸込口など)をモデュール単位で一体化したシステム天井があり,これらはいずれも直接照明である。長押(なげし)から天井を照らすコーブ照明のほか,壁面を上隅から照らすコーニス照明,中壁に遮光帯を設け,上下の壁面を照らすバランス照明という手法もある。…

※「建築化照明」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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