弁内侍(読み)ベンノナイシ

デジタル大辞泉 「弁内侍」の意味・読み・例文・類語

べん‐の‐ないし【弁内侍/辨内侍】

鎌倉中期の女流歌人藤原信実の娘。後深草天皇に仕えた。のち、出家。著「弁内侍日記」。後深草院弁内侍。生没年未詳。

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朝日日本歴史人物事典 「弁内侍」の解説

弁内侍

生年:生没年不詳
鎌倉時代の日記作者,歌人。後深草院弁内侍とも。左京権大夫藤原信実の娘。姉の藻壁門院少将,妹の後深草院少将内侍と共に歌人として知られ,勅撰集に45首入集している。時期は不明だが従二位藤原雅平と結婚し女子を生む。後深草天皇の春宮時代から女房として出仕し,寛元4(1246)年の即位後,14年の在位期間を内侍として仕え,天皇の譲位とともに宮中より退いた。妹の没後出家し,父や姉とも死別,老後坂本の北仰木の里に隠棲したらしい。現存の『弁内侍日記』は内侍となってからの前半約7年間の宮廷生活の記録である。きりりとした短章のなかに,鎌倉時代後期の宮廷のたたずまいを活写しており,また作者の明るい性格,内裏女房としての強い職掌意識,歌人としての高い誇りなどが読みとれる。<参考文献>今関敏子『校注弁内侍日記』

(田渕句美子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「弁内侍」の解説

弁内侍(1) べんのないし

?-? 鎌倉時代の歌人。
藤原信実(のぶざね)の娘。藻璧(そうへき)門院少将の妹。後深草院少将内侍の姉。藤原雅平(まさひら)の妻。後深草天皇に女房としてつかえ,後深草院弁内侍ともよばれる。宮廷生活をつづった「弁内侍日記」をのこす。「続後撰和歌集」以下の勅撰集に和歌45首,「菟玖波(つくば)集」に連歌13句がのっている。

弁内侍(2) べんのないし

?-? 南北朝時代女官
日野俊基(としもと)の娘。後醍醐(ごだいご)天皇,後村上天皇につかえる。弁内侍に心をよせた高師直(こうの-もろなお)にさらわれようとしたとき,楠木正行(くすのき-まさつら)にすくわれる。正行戦死後,尼(あま)となってその霊をとむらったという。

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