精選版 日本国語大辞典 「引立」の意味・読み・例文・類語 ひっ‐たて【引立】 〘 名詞 〙 ( 「ひきたて(引立)」の変化した語 )① ひったてること。[初出の実例]「われが引(ヒ)っ立(タ)ての血祭り坊主か。名は何と云ふづく入だ」(出典:歌舞伎・戻橋脊御摂(1813)三立)② 元気をだすこと。気を張ること。[初出の実例]「或は気癖の悪しきと、気の引っ立ての甲斐なき故なりと云者、是誠に遁辞にて」(出典:蛻巖先生答問書(1751‐64か)中)③ 歌舞伎の「暫(しばらく)」の場面で、花道へ登場した主人公を揚幕の方へ追い払おうとすること。また、その役。[初出の実例]「いつもの通り御苦労ながら、引立(ヒッタテ)が来ましたぞへ」(出典:歌舞伎・暫(1714))④ トンネル工事で、上部に近く掘る長方形または台形の部分。 ひき‐たて【引立】 〘 名詞 〙① 人を重んじて特に挙げ用いること。特に目をかけること。ひいきにすること。[初出の実例]「国の事いとよくなしたりければ、ひきたてよくて、やがて播磨になしつ」(出典:落窪物語(10C後)四)② 勢いをよくすること。さかんにすること。また、気力・気持を奮い立たせること。[初出の実例]「よからばぞよきさ増さるといらふべき引立もなき心地こそすれ」(出典:類従本赤染衛門集(11C中))③ いっしょに連れて行くこと。無理に連れて行くこと。連行。[初出の実例]「武田の捕縛に為りしとき其の宿主にて情を知るの嫌疑を以て引(ヒ)き立てになり」(出典:花間鶯(1887‐88)〈末広鉄腸〉中) ひっ‐たち【引立】 〘 名詞 〙① 勢いがよくなること。盛んになること。元気になること。また、そのもの。[初出の実例]「よし町へ後家引ったちを買に来る」(出典:雑俳・川柳評万句合‐安永七(1778)梅三)② きわだってみえること。めだつこと。[初出の実例]「あの方が幾程宣(いい)か知れない、引立(ヒッタチ)が好くって」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例