古代の法令集で,「貞観格」「延喜格」と並ぶ三代格の一つ。10巻。桓武天皇のときに撰定作業を開始したが中断。嵯峨天皇のときに再開し,820年(弘仁11)撰上,830年(天長7)施行。大宝令以降の詔勅・官符・官奏などのうち現行法として有効なものを選択し,官司別に編集。伝存しないが,「弘仁格抄」によりほぼ全体の配列が,また「類聚三代格」や「政事要略」に引かれた逸文により内容が知られる。なお施行後も修訂作業が続けられ,改訂された「弘仁格」が840年(承和7)にあらためて施行されており,「類聚三代格」などに残る「弘仁格」はこの改訂後のものと推定されている。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…《本朝書籍目録》は30巻と記すが,写本として残存するのは12巻本と20巻本で,いずれも完本はなく,両者を併せても欠失部分がある。内容は,弘仁格,貞観格,延喜格の三代の格(きやく)を類によって聚(あつ)めたもので,三代の格が官司ごとに配列されていたのを,内容により神社事,国分寺事,分置諸国事,調庸事,禁制事,断罪贖銅事など類によって集め,再編成している。三代の格の個々の格は,すべて《類聚三代格》に収録されたと考えられるが,その類聚にあたっては,機械的に配置を変えただけでなく,三代の格が執務の便宜上同一の格を二つの官司の項に収めている場合にはその一方だけを収めており,逆に,一つの格を二つの類に収めた場合もある。…
※「弘仁格」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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