官奏(読み)カンソウ

デジタル大辞泉 「官奏」の意味・読み・例文・類語

かん‐そう〔クワン‐〕【官奏】

太政官から天皇に申し上げること。平安時代の重要な朝儀であったが、のちに、田の荒熟(凶豊)の状況を奏上し、減税を奏請するものなどに限定されるようになった。かんのそう。

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精選版 日本国語大辞典 「官奏」の意味・読み・例文・類語

かん‐そうクヮン‥【官奏】

  1. 〘 名詞 〙 太政官から天皇に文書を奏上し、勅裁をうける政務。平安時代の重要な朝儀であったが、次第に奏上する内容が限定されて、吉書奏、不堪佃田奏(ふかんでんでんそう)、諸国司減省奏などだけになった。官の奏。
    1. [初出の実例]「官奏事 奏文二枚例」(出典:九暦‐九暦抄・天暦三年(949)四月一日)

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「官奏」の解説

官奏
かんそう

太政官が天皇に奏聞して勅裁を請うこと。太政官奏。令制では大納言が奏上する論奏(公卿らが発議)・奏事(諸司が発議して公卿が審議)や,少納言の便奏(尋常奏)をいうが,平安朝では一般に,結政(かたなし)から南所(なんしょ)・陣座(じんのざ)での弁官申政(南所申文(もうしぶみ)・陣申文)へと上申されてきた諸司・諸国の上申文書を,大臣が奏上し最終的な勅許をうける儀式をさす。その儀は,(1)陣座での覧文の儀(文書の確認),(2)清涼殿(または紫宸殿)での大臣(または大中納言)による奏上(結申(かたねもうし)),(3)裁許をうけた大臣が陣座にもどり,史に伝宣(奏報)する,の3儀からなる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「官奏」の意味・わかりやすい解説

官奏
かんそう

太政官から奏上して,天皇の勅許を得ること。奏上の形式にはその軽重により,論奏,奏事,便奏の3種がある。

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世界大百科事典(旧版)内の官奏の言及

【太政官奏】より

…太政官より天皇の勅裁を仰ぐため上申すること,またその文書。官奏ともいう。手続と文書様式は公式令に規定されている。…

※「官奏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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