朝日日本歴史人物事典 「弘智」の解説
弘智
生年:生年不詳
14世紀の行者で,現存する最古の即身仏(即身成仏した行者のミイラ)。新潟県寺泊町野積の西生寺に祀られる。下総国山桑村(千葉県八日市場市)で生まれ,高野山で学び,故郷大浦の蓮花寺に住したのち,諸国行脚の旅に出て西生寺に草庵をむすぶ。最期は死骸を埋めないよう遺言し,草庵で入定して即身仏となった(鈴木牧之著『北越雪譜』)。弘智はのちの江戸時代の出羽湯殿山の即身仏のように生きながら土中に入って断食死するという土中入定伝説をもたない。高野山の空海入定伝説の影響が強い。<参考文献>内藤正敏『ミイラ信仰の研究』,日本ミイラ研究グループ編『日本ミイラの研究』
(内藤正敏)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報