マルグレーテ(読み)まるぐれーて(その他表記)Margrete Ⅰ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルグレーテ」の意味・わかりやすい解説

マルグレーテ(1世)
まるぐれーて
Margrete Ⅰ
(1353―1412)

デンマーク女王在位1387~1396)。デンマーク王バルデマー4世の娘。1363年ノルウェー王ホーコン6世Håkon Ⅵ(1340―1380。ノルウェー王(在位1343~1380)、スウェーデン王(在位1362~1363))と結婚。1375年父王の死後、メクレンブルク公の介入を排して、ひとり息子オーラフ(オーラフ4世Olaf Ⅳ、1370―1387。デンマーク王(在位1375~1387)、ノルウェー王(在位1380~1387))のデンマーク王擁立に成功。1380年夫の死によりノルウェー支配権を継承した。続いて1389年スウェーデン王アルブレヒトを退位に追い込み、ここに三国連合の基礎を置いた。1387年オーラフの夭折(ようせつ)で養子に迎えた姉の孫ポンメルンポメラニア)のエーリク(後の7世Erik Ⅶ、1382ころ―1459。デンマーク王(在位1396~1439)、ノルウェー王(エーリク3世、在位1389~1442)、スウェーデン王(エーリク13世、在位1396~1439))を、1389年ノルウェー、1396年デンマークとスウェーデンの王位につけ、翌年カルマル連合成立に際してはその君主とした。また、ドイツ騎士団からゴトランド島を買収した。国内では貴族勢力を抑え王領の拡大に努める一方、教会修道院には寛大であった。卓越した政治的手腕により、北欧三国を統合体として北ドイツに対抗しうる勢力にした。フレンスボー港の船上で死去した。

[牧野正憲]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マルグレーテ」の意味・わかりやすい解説

マルグレーテ
Margrete

[生]1353. セーボリ
[没]1412.10.28/29. フレンスブルク
ノルウェー,デンマークの女王 (在位 1387~1412) ,スウェーデン女王 (在位 1389~1412) 。カルマル同盟の創設者。デンマーク王バルデマール4世の娘。 1363年わずか 10歳でノルウェー王ホーコン6世 (在位 1355~80) と結婚。子オーラフ4世はバルデマール4世の死後デンマーク王 (在位 75~87) となり,マルグレーテは摂政となった。次いでホーコン6世の死によってオーラフはノルウェー王 (在位 80~87) ともなり,幼少であったため,引続きマルグレーテが摂政となって実権を握った。オーラフ夭折ののち,姪マリエとポンメルン公との子であるエーリックを養子とし,まずノルウェーの王位につかせ (89) ,次いでスウェーデン,デンマークの元老院を動かして国王とさせ (96) ,最後にスウェーデンのカルマルにおいて3国の貴族を集めて同一の君主のもとに3国が連合することを誓わせた (97) 。このカルマル同盟は名目上はエーリックが王であったが,実質上はマルグレーテがその死にいたるまで実権を握った。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「マルグレーテ」の解説

マルグレーテ
Margrethe

1353~1412

デンマークの王女。1375年,父ヴァルデマ4世死後,息子オーロフをデンマーク王に即位させ,夫ノルウェー王ホーコン6世の死後には,ノルウェー王位に即位させた。87年オーロフの急死後,女性に王位継承権がなかったデンマーク王国の「完全なる資格をもつ主婦で,主人かつ後見人」に選出され,実権を握り,姉の孫エーリク・ア・ポンメルンを北欧三国の王につかせ,97年にはカルマル連合を結成させ,生涯実権を握った。

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百科事典マイペディア 「マルグレーテ」の意味・わかりやすい解説

マルグレーテ[1世]【マルグレーテ】

デンマーク,ノルウェーの女王(在位1387年―1397年)。デンマーク王女で,後のノルウェー王ホーコン6世と結婚。父,夫の死によって両国の摂政,1387年女王となった。1389年にはスウェーデンを破り,3国の事実上の支配者となる。1397年カルマル同盟を結成,北欧3国の同君連合を実現,妹の孫エリクを国王とし,摂政として実権を握り,〈北方のセミラミス〉と呼ばれた。

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旺文社世界史事典 三訂版 「マルグレーテ」の解説

マルグレーテ
Margrete

1353〜1412
カルマル同盟によって北欧3国を統一したデンマーク女王(在位1387〜1412)
ノルウェー王ホーコン6世と結婚したが,夫・王子の死後デンマーク・ノルウェー女王になった。さらにスウェーデンを破って国王を捕虜とし,1397年にカルマル同盟を結んで,共同君主としてデンマーク・ノルウェー・スウェーデン3国の王位を兼ねた。

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世界大百科事典(旧版)内のマルグレーテの言及

【デンマーク】より

…やがて1332年から8年間の〈空位期〉を経て,バルデマー4世(在位1340‐75)が国内の混乱を平定し,ハンザ同盟とも和解し,政情は安定する。バルデマー4世の娘マルグレーテ(のち1世)はノルウェー王ホーコン6世Håkon VI(在位1355‐80)と結婚し,その間に生まれたオールフOlufはバルデマー4世没後デンマーク王位に就き(1375),80年父ホーコン王の没後,ノルウェー王を兼ねる。87年オールフが死にマルグレーテは両国の国務院から〈最高権威者〉(摂政)に推戴され,事実上の〈女王〉となり(1387‐97),89年スウェーデン貴族の要請でスウェーデン王アルブレヒトを追放し,3王国を合一した。…

※「マルグレーテ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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