強化原爆(読み)キョウカゲンバク

百科事典マイペディア 「強化原爆」の意味・わかりやすい解説

強化原爆【きょうかげんばく】

核融合技術を用いた,ブースト型核分裂爆弾。わずかな核分裂反応で,中心部に封入した三重水素重水素核融合反応を誘発し,核融合反応で発生する強力な中性子線が,効率的な核分裂反応を可能にする仕組みになっている。重水素(D)と三重水素(トリチウム,T)を使うことからD−T強化方式といわれる。ウラン型でもプルトニウム型でも開発が可能で,核物質分量も10%ほど少なくてもすむ。緩衝材などを減らして通常の原爆の1/4程度にすることも可能。威力を保ちつつ小型化できるので,弾道ミサイルに搭載されれば圧倒的に大きな脅威となる。2013年2月,北朝鮮が行った核実験で,北朝鮮は〈大きな爆発力でサイズは小型化に成功〉と発表,強化原爆の可能性が推測されていたが,同年4月,米国国防情報局は強化原爆を使った可能性があるとする報告書を米国議会に提出した。
→関連項目金正恩

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「強化原爆」の意味・わかりやすい解説

強化原爆
きょうかげんばく
boosted atomic (fission) bomb

原子爆弾 (原爆) にリチウム6などの熱核物質を加えて大きな破壊力を生じさせた爆弾。ウラン 235またはプルトニウム 239の分裂反応を利用する原爆にリチウム6など熱核物質を加えると,原爆反応の超高温下,リチウムに中性子が作用して,ヘリウムと三重水素を生じ,一種熱核反応によって多量のエネルギーを放出し,大きな破壊力を生じる。これを強化原爆といい,100~300kt程度のもので,小型の戦略用兵器に使用される。

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