思国歌(読み)クニシノビウタ

デジタル大辞泉 「思国歌」の意味・読み・例文・類語

くにしのび‐うた【国歌】

上代は「くにしのひうた」》故国を追憶した歌。また、国土をたたえる歌。
「此の歌は―ぞ」〈・中〉

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精選版 日本国語大辞典 「思国歌」の意味・読み・例文・類語

くにしのび‐うた【思国歌】

  1. 〘 名詞 〙 ( 上代は「くにしのひうた」 ) 故郷をしのんで作った歌。くにしぬびうた。
    1. [初出の実例]「此の歌は思国歌(くにしのひうた)ぞ」(出典古事記(712)中)

思国歌の補助注記

古事記に日本武尊(やまとたけるのみこと)望郷歌として収められている三首の歌は、書紀では景行天皇の歌とされる。本来は「しのぶ」をほめる意と考えて国ぼめの歌と思われるが、物語の上から望郷の歌として「思国歌」「思邦歌」と記されたものか。

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改訂新版 世界大百科事典 「思国歌」の意味・わかりやすい解説

思国歌 (くにしのびうた)

古代のクニほめ,また望郷の歌曲の名。シノフはほめる,遥かなものをしのぶ意。〈倭(やまと)は 国のまほろば たたなづく 青垣 山ごもれる 倭し美(うるわ)し〉など,もと民間の国見(くにみ)儀礼の場でクニの繁栄を予祝し,ないしその古老が成年する次代の子らの生の充実をねがった歌曲であったが,《古事記》《日本書紀》景行天皇条の中に物語化され,前者では倭建(やまとたける)命の,後者では景行天皇の望郷歌となった。
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世界大百科事典(旧版)内の思国歌の言及

【日本武尊】より

…だがミヤズヒメのもとに草那芸剣を置いて伊吹山の神を討ち取りに出かけた皇子は,神の降らす氷雨に惑わされ,以後,当芸野(たぎの),杖衝坂(つえつきざか)と進むにつれて疲れを増し,三重についたときは足が三重に曲がるほどの状態になる。やがて能煩野(のぼの)より大和の国をしのんで,〈倭は 国のまほろば たたなづく 青垣 山ごもれる 倭し美(うるわ)し〉など3首の思国歌(くにしのびうた)をよむが,ここから病状があらたまり間もなくして世を去る。死後の皇子は〈八尋白智鳥(やひろしろちどり)〉(大きな白鳥)と化して天がけり,葬を営む后や御子たちがその後を泣いて追ったという。…

※「思国歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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