恰も(読み)アタカモ

デジタル大辞泉 「恰も」の意味・読み・例文・類語

あたか‐も【×恰も/宛も】

[副]《「あだかも」とも》
(多くあとに「のようだ」「のごとし」などを伴って)あるものが他によく似ていることを表す。まるで。まさしく。ちょうど。「―自分が体験したように語る」
ちょうどその時。「時―芸術の秋である」
[類語]まるでちょうどさながら

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「恰も」の意味・読み・例文・類語

あた‐かも【恰かも・宛かも】

  1. 〘 副詞 〙 ( 後世は「あだかも」とも )
  2. ( 多く「似る」「如し」「よう」などの語をあとに伴って ) よく似ている物事にたとえる場合に用いる語。さながら。まるで。まさしく。ちょうど。
    1. [初出の実例]「わが背子が捧げて持てる厚朴(ほほがしは)安多可毛(アタカモ)似るか青き蓋(きぬがさ)」(出典:万葉集(8C後)一九・四二〇四)
    2. 「ツキノ ヒカリ サヤカニ シテ adakamo(アダカモ) ヒルノ ゴトク」(出典:和英語林集成(初版)(1867))
  3. ある時期や時刻にちょうど当たる、また、ある事とほとんど同時に、他の事が起こるさまを表わす語。ちょうど。ちょうどその時。
    1. [初出の実例]「今宵は宛(アタカ)陰暦の七月十五日なりければ」(出典:帰省(1890)〈宮崎湖処子〉六)

恰もの語誌

の意は、奈良時代から既に用例が見られるが、平安時代になると、漢文訓読系の文献にのみ偏って見られるようになる。第二音節は、書陵部本・観智院本「名義抄」「日葡辞書」「書言字考節用集‐九」などでは清音で、江戸初期頃までは清音であったと考えられるが、「和英語林集成」の初版には、濁音で示されている。

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