(読み)カン

デジタル大辞泉 「悍」の意味・読み・例文・類語

かん【悍】[漢字項目]

[音]カン(漢)
気が強く荒い。たけだけしい。「悍馬悍婦勁悍けいかん剛悍精悍剽悍ひょうかん
[名のり]いさむ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「悍」の意味・読み・例文・類語

おぞまし・い【悍】

〘形口〙 おぞまし 〘形シク
① 我(が)が強い。強情である。気があらい。おぞい。おずまし。
源氏(1001‐14頃)帚木「かくおぞましくは、いみじき契り深くともたえてまた見じ」
② たけだけしく激しい。恐ろしい。また、大きく立派である。おぞい。おずまし。
※大唐西域記長寛元年点(1163)三「先に羅漢有り。形量(かたち)の偉(オトトケク)(別訓 オソマシク)大なり」
③ ぞっとするほど不快な感じである。嫌悪感を催させるさまである。
※死の棘(1960)〈島尾敏雄〉「白昼の明るさに顔をあげているのがおぞましい」
おぞまし‐げ
〘形動〙
おぞまし‐さ
〘名〙

おぞ・い【悍】

〘形口〙 おぞ・し 〘形ク〙 (「おずし」の変化した語か)
① 気が強い。強情だ。おずし。おずまし。おぞましい。
※宇津保(970‐999頃)国譲中「うちの后、いとをぞく心かしこく」
② 恐ろしい。こわい。
※源氏(1001‐14頃)蜻蛉「おどろおどろしくをぞきやうなりとて」
③ よくない。悪い
咄本醒睡笑(1628)七「それはそなたのおぞい」
④ 悪賢い。ずる賢い。
※俳諧・西鶴大矢数(1681)第二二「河内一国なびく草むら 楠がおぞひ事共工みては」
⑤ 利口である。賢い。〔物類称呼(1775)〕
[語誌](1)①の意の「おずし」は上代から見られるが、「おぞし」は中古からで、意味の中心も次第に①から②へ移っていった。
(2)中世頃からみられる「えずい」は「恐ろしい」意が原義と考えられ、「おぞい」から変化した語とも考えられる。

おず・し【悍】

〘形ク〙
性格が強く激しい。気性が荒々しく、勝ち気である。おぞい。おぞましい。おずまし。
古事記(712)下「大后の強(おずき)に因りて、八田若郎女を治め賜はず」
② 恐ろしい。こわい。また、悪い。よくない。
※玉塵抄(1563)四三「口ばかりに云うことばもかるいは、のちの憂を招ぞ。をすいことをまねくぞ」
[語誌]この語が変化したと考えられる語に「おぞし」があり、次第に「おぞし」に勢力をうばわれ、「おずし」は近世になると口語から姿を消す。→「おぞい(悍)」の語誌。
おず‐さ
〘名〙

おずまし【悍】

〘形シク〙 =おぞましい(悍)
※源氏(1001‐14頃)夕霧人聞きも、うたてをずましかるべき事をとおぼせば」

おぞまし【悍】

〘形シク〙 ⇒おぞましい(悍)

おぞ・し【悍】

〘形ク〙 ⇒おぞい(悍)

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