悪性外耳腫瘍(読み)あくせいがいじしゅよう(英語表記)Malignant tumor in the external auditory canal

六訂版 家庭医学大全科 「悪性外耳腫瘍」の解説

悪性外耳腫瘍
あくせいがいじしゅよう
Malignant tumor in the external auditory canal
(耳の病気)

どんな病気か

 耳介に発生する悪性腫瘍は、皮膚がん一部とみなすことができます。発生頻度は順に、①扁平上皮(へんぺいじょうひ)がん(80%)、②基底細胞(きていさいぼう)がん(18%)、③悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)(数%)です。

 扁平上皮がんや基底細胞がんは高齢者に多い疾患で、悪性黒色腫は白色人種に多く、黄色人種にはまれです。いずれも太陽光線(紫外線)の曝露が原因のひとつとされています。

症状・検査と診断・治療

①扁平上皮がん

 局所疼痛主体です。いぼ状、乳頭状などの形成型と、初期から潰瘍を形成し深部浸潤(しんじゅん)する潰瘍型があり、発現率はほぼ同じです。比較的早期から皮下軟骨浸潤します。

 病理組織学的には高分化から低分化なものまでさまざまですが、年齢や病期に応じて、外科的治療や放射線治療を組み合わせた治療が必要です(図19)。

基底細胞がん

 表皮基底細胞に類似した悪性腫瘍ですが、局所にとどまりゆっくりと増殖します。治療は外科的切除が基本です(図20)。

悪性黒色腫

 メラニン(色素)を形成する細胞に由来する悪性腫瘍です。輪郭が不整で、不均一な黒褐色に着色された扁平斑です。

 色素性母斑との区別が重要ですが、病変の一部を採取して調べる生検を行うことでリンパ節や全身諸臓器への転移が生じることもあるので、インターフェロン化学療法(抗がん薬)を交えながら外科的切除を行うことが治療の主体です。


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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