感恩講(読み)かんおんこう

精選版 日本国語大辞典 「感恩講」の意味・読み・例文・類語

かんおん‐こう【感恩講】

  1. 〘 名詞 〙 江戸時代秋田藩に設けられた私的貧民救済施設。文政一一年(一八二八)、秋田の御用達商人那波三郎右衛門が、基金四百両を献上して知行地給付をうけ、その収入をもって貧民の救助にあたったのがはじまり。のち、これと同様の施設が土崎大館横手などにもでき、明治以降にも引き継がれた。かんのうこう。

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改訂新版 世界大百科事典 「感恩講」の意味・わかりやすい解説

感恩講 (かんおんこう)

1829年(文政12),秋田藩御用達商人那波三郎右衛門祐生の努力によって生まれた備荒組織のひとつ。財源は藩と慈善同志出資によって整えられ,その財産は官にも民にも属さない一種特別の性質を有するものとされた。管理者として年番をおき,窮民救恤(きゆうじゆつ)や保嬰(ほえい)育児を主な事業とした。感恩講の事業は,災害や凶作時だけでなく日常的に展開されており,年番のもとに用掛や下役をおき,救済の必要の有無を調査して救恤を実施した。明治維新廃藩置県の際にも年番の尽力によって存続を許された。1905年(明治38)創設の児童保護施設は,感恩講児童保育院(児童養護施設)として,今日でも秋田市内で事業を行っている。
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