慢性細菌性前立腺炎(読み)まんせいさいきんせいぜんりつせんえん(英語表記)Chronic bacterial prostatitis

六訂版 家庭医学大全科 「慢性細菌性前立腺炎」の解説

慢性細菌性前立腺炎
まんせいさいきんせいぜんりつせんえん
Chronic bacterial prostatitis
(男性生殖器の病気)

どんな病気か

 頻尿(ひんにょう)残尿感(ざんにょうかん)、会陰部の不快感、疼痛、排尿困難を訴えます。急性細菌前立腺炎との違いは、症状が比較的おだやかで、発熱が認められないことです。

原因は何か

 感染経路がはっきりしないことが多く、前項で述べたような医療機関での検査や処置誘因になっていることもあります。

検査と診断

 急性前立腺炎では排尿された尿のなかに白血球や細菌が認められますが、慢性前立腺炎では炎症の程度が軽いため、自然排尿した尿中にはこれらが検出されないことがあります。そこで前立腺をマッサージして前立腺液を尿道へもみ出してから排尿してもらい、このなかに出て来る白血球や細菌を検査する方法で診断します。

検尿の方法図3

①まず排尿初期の約10mlの尿を採取します(初尿)…(図3ではVB1

②次いで約100~200ml排尿したあとの尿(中間尿)を採取します…(図ではVB2

③医師が肛門から直腸へ挿入した指で前立腺をマッサージします。これにより尿道の先端から出る圧出液を採取します…(図ではEPS

④最後にマッサージ後の最初の尿を約10ml採取します…(図ではVB3

 以上4つの検体のなかの細菌と白血球の有無を調べて診断します。

 前立腺の触診では急性前立腺炎ほどの痛みや熱感は生じませんが、ほとんどの症例鈍痛・圧痛があります。慢性細菌性前立腺炎は上記①、②に比較して③、④のなかに白血球が増え、細菌が認められることで診断します。

治療の方法

 通常は入院の必要はなく、通院治療で十分対応できます。検出された細菌に有効な抗生剤を使って治療します。抗生剤は慢性炎症を生じた前立腺には到達しにくいので、急性前立腺炎よりも長期間(数カ月)の投与が必要です。

 生命の危険など重い病態を示すことは、通常ありません。

病気に気づいたらどうする

 泌尿器科の専門医に相談してください。難治性で症状が長期化する場合には、前立腺マッサージが有効なことがあります。


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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