化学辞典 第2版 「慣性だ円体」の解説
慣性だ円体
カンセイダエンタイ
ellipsoid of inertia
質量 mi なる質点の集まりからなる剛体内の点Oを原点としてx,y,z軸をとると,この主軸系における慣性テンソルの成分は,
Ixx = Σ mi(yi2 + zi2),Iyy = Σ mi(zi2 + xi2)
Izz = Σ mi(xi2 + yi2),Ixy = Σ mixiyi
Iyz = Σ miyizi,Izx = Σ mizixi
である.また,Oを通る直線OSの方向余弦を(λ,μ,ν)とすると,この直線のまわりの慣性モーメントは,
I = Ixxλ2 + Iyyμ2 + Izzν2 - 2Ixyλμ - 2Iyz μν - 2Izx νλ
となる.OSの方向にOから
r = 1/
の距離にある点R(x,y,z)をとり,慣性モーメントがIであるような軌跡を求めると,
Ixxx 2 + Iyyy 2 + Izzz 2 - 2Ixyxy - 2Iyzyz - 2Izxzx=1
のだ円体面となる.このような面をもつだ円体を慣性だ円体という.さらに,
Ixy = Iyz = Izx = 0
となるような方向にとった主軸を慣性主軸とよび,この主軸系におけるx,y,z軸のまわりの慣性モーメント Ixx,Iyy,Izz を主慣性モーメントという.分子スペクトルでは,分子の回転を解析するときに分子を慣性だ円体とみなして取り扱う.[別用語参照]回転スペクトル
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報