懸車(読み)けんしゃ

精選版 日本国語大辞典 「懸車」の意味・読み・例文・類語

けん‐しゃ【懸車】

〘名〙
① (中国、前漢の薛広徳が官を辞した時、天子から賜わった車を高くかけ、子孫に伝えたという「漢書‐薛広徳伝」の故事による) 仕官をやめること。致仕
※本朝文粋(1060頃)二・答貞信公致仕表勅〈菅原文時〉「朕前指公旦。而懐頽暮。引司馬而抑懸車
② (「白虎通‐致仕」の「臣七十懸車致仕者、臣以事趨走職、七十陽道極、耳目不聰明、跂之属、是以退去避賢者、所以長廉耻也、懸車示用也」による) 致仕の年、七〇歳の異称
※続日本紀‐天平宝字八年(764)九月戊戌「年満懸車、依礼致仕」
日没の時。〔淮南子‐天文訓〕

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デジタル大辞泉 「懸車」の意味・読み・例文・類語

けん‐しゃ【懸車】

退官のときに帝から贈られた車を、記念のため高く懸けて子孫に伝えたという「漢書薛広徳せつこうとく伝の故事から》退官すること。
《「白虎通」致仕から》中国で定められた退官の年齢。70歳のこと。
「大臣大将にのぼりて―の齢まで仕うまつらる」〈神皇正統記村上
《「淮南子えなんじ」天文訓から》車を入れる時刻、すなわち、たそがれ時。

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普及版 字通 「懸車」の読み・字形・画数・意味

【懸車】けんしや

退職。退休。〔全唐詩話、八〕李百思沈鬱、尤も五言に工(たく)みなり。~懸車老するにび、怡然(いぜん)として自得す。地をち山をき、詩酒を以て自し、生のを盡す。

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