中国、後漢(ごかん)の班固(はんこ)の著作。儒教の学説の異同を調整し、古義を解説した書。四巻。後漢の章帝のとき(79)詔を受けて多くの学者や大官が白虎観に集まって五経の解釈の違いを討論し、統一見解をつくった。その論議の記録が本書である。討論集会がもたれるに至った直接のきっかけは、当時、博士官の学であった今文(きんぶん)経学(中心文献は『公羊伝(くようでん)』と『礼記(らいき)』)に対して、民間の学であった古文経学(中心文献は『左氏伝』と『周礼(しゅらい)』)がはなはだしく進出したためとみられる。論議の特色は、今文経学を主としながら古文経学をも取り入れ、礼を中心に据えて讖緯(しんい)説を利用し、経書解釈の国家主義化を明確にしたことにある。
[日原利国]
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