六訂版 家庭医学大全科 「手部腱損傷」の解説
手部腱損傷
しゅぶけんそんしょう
Tendon injury of the hand
(外傷)
どんな外傷か
手指の屈伸運動は、前腕の筋肉から連続する
腱が断裂すると、指の屈伸運動が損なわれますが、断裂した腱の種類や断裂部位などにより、動きが損なわれる関節部位やその程度は異なります。
原因は何か
腱の損傷は、血管や末梢神経と同様に、主に
指を伸ばす伸筋腱の断裂による指先の関節部位の損傷は、マレット指といって、突き指によって生じることがほとんどです。また、スポーツなどで自分の筋力が強いため、力を入れた時に屈筋腱の皮下断裂が起こることもありますが、これは比較的まれです。
関節リウマチでも、腱が弱くなってしばしば皮下断裂を生じます。
治療の方法
突き指によるマレット指は、手術をせずに装具などで治療することが可能ですが、多くの腱損傷では手術を行わないと機能回復は望めません。しかし、腱はそれ自体ほとんど伸び縮みしない組織で、血行に
とくに、
現在では、創の条件がよく、熟練した手の外科の専門医であれば、よい手術結果が得られることが多くなってきましたが、治療が難しいことには変わりありません。治療のタイミングが遅れた場合や、最初の手術の結果がよくない時などは、縫合部をはがして滑走を改善させる
高山 真一郎
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報