打手・討手(読み)うちて

精選版 日本国語大辞典 「打手・討手」の意味・読み・例文・類語

うち‐て【打手・討手】

〘名〙
① 一般に、打つという動作をする人。
※新式ベースボール術(1898)〈高橋雄次郎〉一「一方の打者(ウチテ)〈略〉が打つのだけれど」
② (討手) 敵を攻め滅ぼしに向かう人々。また、罪人などを捕えたり、殺したりする役の人。うって。おって。殺し手。
※高野本平家(13C前)九「百卅余人が頸切て討(ウチ)手の交(けう)名しるいて」
銃砲、石、刃物などをうつ人。
※塩原多助一代記(1885)〈三遊亭円朝〉三「打人(ウチテ)は名におふ塩原角右衛門の腕前ですから」
④ 太鼓、鐘などをたたいて鳴らす(役の)人。また、そのすぐれた人。
※わらんべ草(1660)五「太鞁 日吉七郎次郎 宗印時の打手也」
⑤ 面など、材料を鍛えて作り出す人。また、そのすぐれた人。
※申楽談儀(1430)面の事「翁は日光打。彌勒打て也」
ばくち、すごろく、碁などをする人。また、それらにすぐれ、あるいは好きな人。
日葡辞書(1603‐04)「バクチ、または、スグロクノ vchite(ウチテ)
空手の手技の一つ。こぶし、手刀などで相手の急所を打ったり、かかってくる相手の手足を打って防いだりする技。

うっ‐て【打手・討手】

〘名〙 (「うちて(打手)」の変化した語)
① 敵、罪人などの討伐逮捕に向かう人々、軍勢。おって。うて。
※平家(13C前)一二「討手(うって)のぼると聞えしかば、判官殿鎮西(ちんぜい)のかたへ落ちばやとおもひたち給ふ処に」
② ある特定の人を殺したり、捕らえたりするためにさし向けられた人。刺客。うて。
※義経記(室町中か)四「鎌倉殿の御弟九郎判官殿を討ち参らせよとのうっ手の使ひを賜はって」
③ 人を殺した者。下手人。うて。
実隆公記‐文明七年(1475)正月二三日「戌下刻於裏辻之北辺、山形三郎兵衛 前内府青侍誅了、不打手其故
④ 敵、罪人などを殺すことをもっぱらにしている人。うて。
※奥州後三年記(1347)中「武衡がもとに亀次并次と云ふ二人の打手あり」

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