公家の家政機関に勤仕する侍の称。17世紀初頭に完成した《日葡辞書》にも,ほぼ同じ意味の解説がある。11世紀後半以降,貴族層の家柄の再編成が進行する中で〈侍〉階層が成立してくる。彼らは,公卿の家に侍として仕え,まれには五位以上に昇ることもあるが,基本的には六位層にとどまり,四位,五位への昇進を常のこととする〈諸大夫〉層より低く位置付けられていた。彼らのような六位層の者は,平安末期ごろから縹(はなだ)(うすい藍)色の位袍(いほう)を着用したが,このことから,彼らを青侍と呼ぶようになったとする説が有力である。また〈青〉を未熟の意味であるとし,年若く,かつ技量未熟な侍の称とする見解もある。用例は《中右記》《明月記》をはじめとする院政期以降の古記録や,《今昔物語集》《古今著聞集》《平家物語》《宇治拾遺物語》等々の文学作品にみられる。女性に関しては青女房,青女の用例がある。
執筆者:玉井 力
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