抉じる(読み)コジル

デジタル大辞泉 「抉じる」の意味・読み・例文・類語

こ・じる【×抉じる】

[動ザ上一][文]こ・ず[ザ上二]こじる」(五段)に同じ。
「再び火箸で戸の間を―・じた」〈近松秋江疑惑
[補説]現在では多く「こじあける」などの複合語として用いる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「抉じる」の意味・読み・例文・類語

こ・じる【抉】

  1. 〘 他動詞 ザ上一 〙
    [ 文語形 ]こ・ず 〘 他動詞 ザ上二段活用 〙
  2. すきまなどに物を入れてねじる。
    1. [初出の実例]「たこちを入てこづる、こづ」(出典:名語記(1275)五)
    2. 「足をつえにてこぢ、ぼうをゆすりなどする也」(出典:狂言記・朝比奈(1700))
  3. ひねる。力を入れて曲げる。また、屈服させようとする。
    1. [初出の実例]「子由在筠州郡僚とこぢやうて中がわるいときく程に」(出典四河入海(17C前)二五)
  4. ひねくれた言い方をしたり、抗議をしたりする。
    1. [初出の実例]「本来くうに返すべき身成とて、土返とかきて、つちにかへると申事にて候と、ただすねがましくこぢにける」(出典:浄瑠璃・金平太平記(1684‐95頃)初)
  5. むりに関係づける。こじつける。
    1. [初出の実例]「デカルトのデと、カントのカンと、ショーペンハワーのショを採ったんだなんて、デカンショ旨くも附会(コジ)たりな」(出典:東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉三月暦)

抉じるの補助注記

( 1 )従来、歴史的かなづかいは「こじる」としているが、用例は、複合語を含め、ほとんどがダ行であるから、あるいは「こぢる」であったか。
( 2 )→五(四)段活用「こじる(抉)」の補注


こじ・る【抉】

  1. 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
  2. こじる(抉)①〔上一段動詞〕
    1. [初出の実例]「喉元をぷつりと刺し貫きこじられて其儘気息(いき)は絶えました」(出典:塩原多助一代記(1885)〈三遊亭円朝〉七)
  3. こじる(抉)③〔上一段動詞〕
    1. [初出の実例]「小母につけつけ抉(コ)じられてゐたりするところが」(出典:小鳥の巣(1910)〈鈴木三重吉〉下)

抉じるの補助注記

中世から近世にかけては上二段(上一段)に活用しているが、「和英語林集成(初版)」には「Koji, ru, tta コジル」とあり、上一段と四段がまじっている。近世末から四段にも活用するようになったと見られる。

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