火箸(読み)ヒバシ

デジタル大辞泉 「火箸」の意味・読み・例文・類語

ひ‐ばし【火箸】

炭火などを挟むための金属製の箸。
[類語]おてもと割り箸菜箸太箸取り箸塗り箸

こ‐じ【箸/筋/×匙】

《「こ(火)」は唐音香道具で、柄が象牙や桑の火ばし。また、禅家で単に火ばしをいう。

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精選版 日本国語大辞典 「火箸」の意味・読み・例文・類語

ひ‐ばし【火箸】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 炭火などをはさむのに用いる金属製の箸。〔十巻本和名抄(934頃)〕
    1. [初出の実例]「火はしして灰など掻きすさみて」(出典:枕草子(10C終)一八一)
  3. 非常にやせているものや細いものをたとえていう。

こ‐じ【火箸・火匙・火筯】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「こ」は「火」の唐宋音、「じ」は「匙」の呉音 ) 香炉に香をつぐのに用いる、木製の柄のあるひばし。また、禅家で単にひばしをいう。〔尺素往来(1439‐64)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「火箸」の意味・わかりやすい解説

火箸
ひばし

炭火(すみび)、焚火(たきび)などを挟むのに用いる箸。「火筋」「火挟」「撥火杖」などとも書き、いずれもヒバシとよんでいた。古くは枝木などでつくったが、のちには鉄、銅、真鍮(しんちゅう)などの金属にかわった。細長い一対の棒で、直径は0.5~1センチメートル、長さは20~60センチメートルに及ぶ各種があるが、普通、炉、かまど用には直径0.6センチメートル、長さ50センチメートル前後、火鉢用には直径0.5センチメートル、長さ25センチメートル前後のものが多く用いられた。その形状には丸形、角形、橈(かい)形などがあり、また頭部に装飾のための彫刻・象眼(ぞうがん)を施したもの、散失を防ぐために輪・鎖でつないだもの、熱の伝導を防ぐために竹・木の柄(え)をはめたものなどがある。火箸の習俗としては、厄年(やくどし)や不運な家にこれを贈ることがある。

[宮本瑞夫]

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