折櫃(読み)おりびつ

精選版 日本国語大辞典 「折櫃」の意味・読み・例文・類語

おり‐びつをり‥【折櫃】

  1. 〘 名詞 〙 檜の薄板を折り曲げて作った容納具。四角形六角形円形楕円形などさまざまで、檜葉を敷いて菓子、肴(さかな)などを盛り、四隅に作り花などを立てて飾りとした。
    1. 折櫃
      折櫃
    2. [初出の実例]「白木韓櫃四合、明櫃四合、折櫃(ヲリヒツ)廿合」(出典延喜式(927)一二)

おり‐うずをりうづ【折櫃】

  1. 〘 名詞 〙 「おりびつ(折櫃)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「『妻子どもにあたふべし』とて、折櫃(オリウヅ)に入りし御菓子をも、たびたびに給りしが」(出典:随筆・折たく柴の記(1716頃)上)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「折櫃」の意味・わかりやすい解説

折櫃
おりびつ

檜(ひのき)の薄板を折り曲げてつくった方形または角切りの箱で、食物や菓子などを盛るのに使用した。古く「おりうず」といったのは、木を折り曲げてつくったからである。『延喜式(えんぎしき)』には上折櫃、中折櫃、小折櫃、脚付折櫃、机代折櫃などとあって、箱にあわせた台をつくったり、脚を直接につけたりして用いた。白木を原則としたが、胡粉(ごふん)地に泥絵で花鳥を描いたり、四隅に造花などを立てて美しく飾ったものがあったことが、『山槐記(さんかいき)』(治承3年正月6日条)の東宮五十日の殿上埦飯(おうはん)によって知ることができる。後世、蓋(ふた)もついて折り箱、略して「折」とよばれ、宴会などのあとに持ち帰れるようになった。現在、行楽などに使用される折り箱はこれである。

[郷家忠臣]

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世界大百科事典(旧版)内の折櫃の言及

【箱】より

…これらは公家の生活を中心に用いられたが,やがて武家にもとりいれられ,さらに簡略化されながら庶民生活に用いられるようになった。例えば上代の菓子を盛る折櫃(おりうず)(ヒノキの薄板を折り曲げてつくる)が,のちに蓋のついた折箱,そして近世から菓子箱に進展した。また箱は必要とする諸道具を簡便に一括する機能を果たしている。…

【折】より

…薄板を折り曲げてつくった箱。折櫃(おりびつ∥おりゆうず),折箱と呼ぶこともあり,おもに食物を入れるのに用いる。折櫃の名は奈良時代から見え,食器の収納にも用いた。…

※「折櫃」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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