胡粉(読み)ごふん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

胡粉
ごふん

日本画に用いる白色絵具で,岩絵具の一種。瀬戸内海沿岸でとれるいたぼがき (板甫牡蠣) などの貝殻を焼き,砕いたうえで水処理してつくる。室町時代以降現代まで用いられる。炭酸カルシウムを成分とする粉末で,一般には石灰石に同様の処理を施してつくった顔料も胡粉という。

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大辞林 第三版の解説

ごふん【胡粉】

白色の顔料。貝殻を焼き、砕いて粉末にしたもの。成分は炭酸カルシウム。室町時代以降用いられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

胡粉
ごふん

東洋画の白色顔料の一種。貝殻を焼いて粉末にしたもので、炭酸カルシウムを主成分とする。絵の地塗りや建築物の彩色に多く用いられ、また桃山時代の障屏画(しょうへいが)などでは、桜や菊などを胡粉の盛り上げ彩色で効果的に表現している。ただし材質上剥落(はくらく)しやすく、胡粉で彩色された作品は取扱いに注意が肝要。胡粉の語は、すでに早く奈良時代の文献にみえるが、実際に胡粉が顔料として使われるようになるのは室町時代以後のことで、それ以前は白土などが用いられた。これを含めて白色顔料を胡粉ということもある。また他の顔料に胡粉を混ぜたものを、具墨(ぐずみ)、朱(しゅ)の具、具まじりと称すように、具とよぶ。[榊原 悟]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ご‐ふん【胡粉】

〘名〙 白色顔料。板甫牡蠣(いたぼがき)の殻を数年、風雨にさらし、粉砕、水簸(すいひ)、乾燥して作った炭酸カルシウムを成分とする粉末。中世以降、現代に至るまで日本絵画で用いられている。また、奈良時代は鉛白や白土をさしたと考えられる。ごふ。
※法隆寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年(747)「合綵色物壱拾参種 〈略〉塔分陸種 朱砂六十二両一分 胡粉二百八十両一分」 〔釈名‐首飾〕
[補注]「法隆寺資財帳」や「延喜式」に、「雌黄、烟子、丹、緑青」といった顔料とともに載るが、これは、鉛白及び粉錫を指すと考えられる。古墳壁画や諸寺の遺物における白色は、白土か鉛白によるものであり、「胡粉」が貝殻粉(炭酸カルシウム)を指すようになるのは、鉛白が雌黄のような硫黄分を含む顔料との併用で黒ずむという欠点のために、中世以降、貝殻粉の使用が一般化したことによる。

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