抱擁家族(読み)ホウヨウカゾク

デジタル大辞泉 「抱擁家族」の意味・読み・例文・類語

ほうようかぞく〔ハウヨウカゾク〕【抱擁家族】

小島信夫小説ひとつ家庭が妻の不倫をきっかけに崩壊していく様子を描く。昭和40年(1965)発表。同年、第1回谷崎潤一郎賞受賞。昭和46年(1971)、作者自身の脚本にて舞台化

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「抱擁家族」の意味・わかりやすい解説

抱擁家族
ほうようかぞく

小島信夫(のぶお)の長編小説。1965年(昭和40)7月『群像』に掲載。同年9月講談社刊。翌年9月第1回谷崎潤一郎賞受賞。現代における夫婦関係の危機的状況、それがもたらす家庭崩壊、解体していくエゴ実相を描いた問題作。中年の大学教師三輪俊介の妻はアメリカ兵と姦通(かんつう)する。それを知っているのに、主人公には妻を裁く倫理観がない。彼はなんとか家庭の危機を回避し、再建しようとし、郊外に家を新築するが、そのときには妻は乳癌(にゅうがん)で死に、息子家出をする。新しい家は荒廃したまま残される。

松本鶴雄

『『抱擁家族』(講談社文庫)』

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