日本大百科全書(ニッポニカ) 「拡大生産者責任」の意味・わかりやすい解説
拡大生産者責任
かくだいせいさんしゃせきにん
extended producer responsibility
製品に対する生産者の責任を、製品の消費後の段階まで拡大させるという環境政策上の考え方。略称EPR。この場合の責任とは、物理的な回収・処理、財政的な負担など幅広くとらえられる。従来は自治体がほとんど担ってきた廃棄物処理の責任を、上流の事業者にまで拡大することによって、廃棄物の抑制や再利用容易な製品への転換を図ろうというねらいがある。1995年(平成7)に制定された容器包装リサイクル法では、自治体が分別収集した容器包装廃棄物の引き取りと再商品化(リサイクル)を事業者に義務づけた。これが日本におけるEPR政策の最初である。家電リサイクル法(1998)では、販売店の下取りとメーカーによるリサイクルを義務づけた。その後2000年(平成12)に制定された循環型社会形成推進基本法では、事業者が廃棄物の抑制や製品に対する環境配慮の責任を負うべきとするEPRの一般原則が定められた。パソコン、二次電池(蓄電池)、自動車などのリサイクルについても資源有効利用促進法(2001)や自動車リサイクル法(2002)において、EPRが取り入れられている。一方、ドイツの容器包装リサイクル制度では、回収から再利用までの物理的・財政的責任を製造販売事業者が負うなど、事業者の責任範囲が大きく、日本の諸制度は不十分であるという意見もある。
[山本耕平]