ほかの魚類やウミガメ、ワニなど大形水生動物(ホスト)の体表、口、えらなどに付着している外部寄生虫を食べる魚類の総称。ときには死んだ皮膚も食べる。小形のベラ類、チョウチョウウオ類、スズメダイ類、ハゼ類など約30科、100種あまりが知られている。とくに熱帯や亜熱帯のサンゴ礁にいる魚類に多いが、カリフォルニア沿岸域からも掃除魚の存在が報告されている。また、種類が少ないが汽水魚や淡水魚でも観察されている。熱帯域の掃除魚は自分をホストに対して目だたせるために色彩が鮮やかであり、単独または1対で行動する。しかし、行動範囲は狭くて、限られた場所に定住する習性がある。寄生虫は小形甲殻類(コペポーダ、ワレカラなどが多い)である。
一方、掃除されるほうの魚類は、ハタ類、アジ類、ニザダイ類、チョウチョウウオ類、ヒメジ類、ブダイ類、ウツボ類など多種類に上る。たとえば、掃除魚のホンソメワケベラは、その周りにいる90種近い魚のうち、8割にあたる魚の掃除をする。
掃除魚と掃除を要求する魚の間には、共通の利益に基づくコミュニケーションがある。たとえば、掃除を要求する魚は、ホンソメワケベラが集まっている場所にきて、口を大きく開き、鰓蓋(さいがい)を広げて掃除魚を招く。掃除をする意思のあるホンソメワケベラは、それに応じてひれや鰓蓋、口などをつっついてから掃除を始める。要求した魚は掃除魚の行動に身を任せ、掃除が終わるまで静かに待ち、危害を加えたり不安にさせたりすることはない。ホストが体を震わせたり、口を開閉したりすることで、掃除の終了の合図をする。いつもホンソメワケベラと同じ場所にいる魚では、必要なとき積極的に掃除を要求する。掃除魚は大きな魚類について、外敵の攻撃を避け、餌(えさ)をとり、ときには餌の大部分をこれに依存している。一方、寄生虫を除かれるほうも利益を受けるので、両者は相利共生の関係にある。
[落合 明・尼岡邦夫]
…雌雄が産卵前にディスプレーや営巣をし,雄が卵を守るなど,いろいろの習性を発達させている種も多い。また,大きな魚などの外部寄生虫をおもな餌とする掃除魚cleaner fishとして知られる種類も含まれる。また,この類は夜眠る習性をもつことも有名で,水族館でも昼夜を逆転させた水槽を用意し,キュウセン(イラスト)などが砂に潜って寝るようすが観察できるようにしているところもある。…
…ハレムの雄をとり除くと,順位の高い雌が雄に性転換する。 掃除魚としてもっとも有名な種で,他の魚の体表やえらについた寄生虫(おもにコペポーダ)を食べる。個体ごとに自分の場所があり,身をくねらせるような独特の泳ぎをしていると大型魚がこの掃除ステーションを訪れる。…
※「掃除魚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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