日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワレカラ」の意味・わかりやすい解説
ワレカラ
われから / 破殻
skeleton shrimp
節足動物門甲殻綱端脚(たんきゃく)目ワレカラ科Caprellidaeに属する種類の総称。広義にはワレカラ亜目Caprellideaに属する種類の総称で、500種以上知られている。すべて海産で、とくに岩礁の海藻や定置網などについていることが多い。体長5~50ミリメートルで、一般に10ミリメートル内外。細長い円筒形で、7胸節のうち第1節は頭部と癒合しているため、胸部は見かけ上6節からなる。腹部は著しく退化して胸節に続く小さな突起にすぎない。第1、第2顎脚(がっきゃく)にはさみをもつが、第2顎脚が強大で、種の分類形質となる。後ろ3対の歩脚はかならず存在するが、前2対はないことが多く、あっても退化的。第2、第3胸節に葉状のえらが1対ずつある。海藻の間では体形が擬態となっており、体色も海藻に似る。もっとも多いのはマルエラワレカラCaprella acutifronsとトゲワレカラC. scauraで、本州北部から北海道には体長60ミリメートルになるオオワレカラC. kroyeriが普通にみられる。
[武田正倫]