掻き付く(読み)カキツク

デジタル大辞泉 「掻き付く」の意味・読み・例文・類語

かき‐つ・く【×掻き付く】

[動カ五(四)]
しっかりと取りつく。とびつく。
マルという犬が、黒毛尻尾しっぽを振って、いきなり岸本へ―・いた」〈藤村・春〉
頼りとしてすがりつく。
「いとど―・かむ方なく、悲しげに眺め過ごし給ふ」〈蓬生
[動カ下二]
乱れた髪などをくしでなでつける。
草枕ねくたれ髪を―・けしその朝顔の忘られぬかな」〈続詞花・恋中〉
身につける。とりつける。
弓矢―・けて」〈著聞集一二

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「掻き付く」の意味・読み・例文・類語

かき‐つ・く【掻付】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 カ行四段活用 〙 ( 「かき」は接頭語 )
    1. しっかりとつく。とりつく。しがみつく。つかまる。かいつく。
      1. [初出の実例]「手胼(たこむら)に 虻(あむ)加岐都岐(カキツキ)」(出典古事記(712)下・歌謡)
      2. 「猫また〈略〉足許へふと寄りきて、やがてかきつくままに、頸のほどを食はんとす」(出典:徒然草(1331頃)八九)
    2. 生活や心のよりどころとして頼りにする。とりすがる。
      1. [初出の実例]「冬になり行くままに、いとどかきつかむ方なく」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蓬生)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 カ行四段活用 〙 ( とりすがってせがむところからか ) ねだって自分のものにする。
    1. [初出の実例]「はうばいの若い者に絹のきゃふかきつき」(出典:浮世草子・好色一代女(1686)五)
  3. [ 3 ] 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙かきつける(掻付)

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