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揺れる原発耐震指針 ゆれるげんぱつたいしんししん

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知恵蔵2015の解説

揺れる原発耐震指針

2007年7月の新潟県中越沖地震(マグニチュード6.8)で直撃を受けた東京電力柏崎刈羽原子力発電所では、設計時の想定をはるかに上回る揺れが観測され、原発の耐震性が問題になった。東電によると、1号機の最下階にあたる地下5階の地震計で680ガル〈Gal〉(ガルは加速度の単位、重力加速度は980ガル)を記録。設計時に想定していた揺れ(273ガル)の2.5倍に達した。地震の影響による機器損傷などの被害は、1〜7号機で軽微なものを含め計約3000件。6、7号機で微量の放射性物質が原発の外に漏れたほか、使用済み核燃料プールから大量の水があふれたり、炉心の制御棒が引き抜けなくなったりするなど、被害が次々に明らかになった。 原発の耐震設計は、国の原子力安全委員会が定めた耐震設計審査指針(耐震指針)に従い、通常の建築物より丈夫な構造になるよう求められている。全国の既存の原発55基は、1978年に定められた旧耐震指針の想定範囲で巨大地震の揺れに耐えられる設計になっている。 しかし、この想定をめぐり、とくに95年の阪神大震災以降、一部の専門家などから地震動過小評価を懸念する声が高まっていた。実際、05年8月に東北電力女川原発、07年3月には北陸電力志賀原発で地震計の観測記録の一部が旧指針に基づく想定を超えた。こうしたなか、原子力安全委員会は06年9月、旧指針の基準を強化する方向で見直した新指針を取りまとめた。 なぜ旧指針に基づく地震動評価が不十分だったのか。改定された新指針では、その心配はないのか。焦点は、柏崎刈羽原発の復旧だけでなく、既存原発に対して電力各社が行う新指針に基づく耐震安全性評価の行方だ。評価は、中越沖地震で得られた知見なども考慮した上で行われる。 柏崎刈羽原発では、東電が建設前に実施した海底探査で、活断層を見落としていた可能性が浮上している。東電は原発沖の海底で最大9kmの活断層を計4本見つけていた。だが中越沖地震後、過小評価していた可能性があるとして、海岸沿いに140km、沖合50kmの海域を調べ直している。全国の原発でもこうした見落としなどがなかったか、実態の解明と早急な耐震安全性の再評価が求められている。

(渥美好司 朝日新聞記者 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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