日本大百科全書(ニッポニカ) 「教育インターナショナル」の意味・わかりやすい解説
教育インターナショナル
きょういくいんたーなしょなる
Education International
世界の教職員組合からなる国際組織。略称EI。2010年2月の時点で、173の国および地域の、就学前学校から大学におよぶ402の全国組織労働組合・協会に属する組合員・会員約3000万人を組織している。
この「教育インターナショナル」は、1993年1月、「国際自由教員組合連盟」International Federation of Free Teachers' Union(IFFTU)と「世界教職員団体総連合」World Confederation of Organization of the Teaching Profession(WCOTP)が双方の組織の大会で互いの統一について可決し誕生したものである。二つの組織は、1950年代初期の結成以来、職能団体的かつ労使協調的な性格をもっていたが、東西冷戦の終結を契機に統一の方向に動き、1993年1月26日に統一を実現した。本部をベルギーのブリュッセルに置き、「国際自由労連」(ICFTU)における世界最大の国際産別組織となっている。EIは国際教育局(IBE)を含むユネスコとの公式の連携を保ち、国連社会経済理事会(ECOSOC)の諮問機関的な役割を有し、また世界保健機関(WHO)、国際労働機関(ILO)、世界銀行(World Bank)、経済協力開発機構(OECD)と共同の活動を行っている。
EIは、民主主義、人権および社会正義の理念によって導かれ、あらゆる政府から独立した自治組織であり、いかなる政党あるいはイデオロギー、宗教的集団の支配にも服しない、などの原則にたち、おもに次のような目的を有するとしている。
(1)教師および教育職員の専門的および労働者としての権利を擁護すること。
(2)すべての者に対する質の高い公教育の発展を通して、すべての国民のために平和、民主主義、社会正義および平等を促進すること。
(3)教育および社会におけるあらゆる形の人種的偏見および差別と闘うこと。
(4)社会において、教育の場において、教員および教育雇用者の組織のなかにおいて、女性のリーダーとしての役割を開発すること、女性の組織への参画について特別の関心を払うこと。
(5)先住民、少数民族、移住者および子供など、もっとも弱い集団の権利を保障すること。
EIの人権キャンペーンの鍵(かぎ)となる重要な活動目標として、児童労働を廃絶し、教育を普及させることがある。
[田崎徳友]