教興寺(読み)きようこうじ

日本歴史地名大系 「教興寺」の解説

教興寺
きようこうじ

[現在地名]八尾市教興寺

東高野街道東側にある。真言律宗(本山西大寺)、獅子吼山大慈三昧院と号し、本尊弥勒菩薩。高安たかやす寺またはた寺と称し、俗にやぶ寺ともいう。当寺の御手印縁起によると、聖徳太子が物部守屋討伐を祈願して秦河勝に命じて創建させたという。南方てら池・大門だいもん池という池が現存するが、かつては臨池式伽藍をもち、塔頭の大通寺・梅岩寺・意満寺を有し、経蔵・食堂のある大寺院であったが(御手印縁起)、鎌倉時代には荒廃していた。文永六年(一二六九)西大寺叡尊(興正菩薩)が復興に取組むが、その経緯について彼の自伝「感身学正記」同年一〇月条に「今年秋八月比、河内国新福寺同法両人、参同国高安郡教興寺俗号、秦寺講堂本尊千手観音、悲覆雨露、欲奉授之、其志元者、叡尊、昔従泉福寺、帰西大寺時、於信貴坂、適休息時、見北方有極高藤、尋案内者之処、秦川勝建立之伽藍也云云、於是予顧仏法流布之恩、故悲歎之涙尤難禁也、雖有興隆之志、貧道之身難及、故空送年月之処、彼両人知余志、発此願時、近辺尊卑勧少財将助之」とある。叡尊は南河内方面への布教帰途、当寺の荒廃した姿をみて再興を発願している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android