改訂新版 世界大百科事典 「数秘学」の意味・わかりやすい解説
数秘学 (すうひがく)
numerology
数を使って事物の本性,とくに人物の性格・運命や未来のできごとを解明・予見する西洋古来の占術。数は万物の原理であり,宇宙のいっさいは数に則って秩序化されているというピタゴラス学派の哲学や,カバラ的聖書解釈法ゲマトリアの伝統に基づくものと思われる。古代のアルファベットは音価だけではなく数値をもっていたので,文字で表される言葉もしくは観念は同時に一定の数値をもつことになる。この数値を同じくするものは照応関係によって隠れた結びつきをしていると考えられ,したがって占いにも応用することができるわけである。本来変換に用いられたのはギリシア文字やヘブライ文字の数値であるが,現行の数秘学はアルファベットに1から9までの数をあてはめて用いるのが普通である。ABC順に1から9を当てはめJとSで1にもどる。するとA,J,Sは1,B,K,Tは2の数値をもつ。以下同じ。例えばAdamは1+4+1+4=10,Evaは5+4+1=10となる。10以上の数は各桁の数字を再度加えて1桁に還元させる。こうしてAdamとEvaはともに1(1+0=1)の数をもち,1のもつ原初,創造,統合の観念をになっていると解釈される。
→数
執筆者:大沼 忠弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報