斎藤司(読み)さいとう・つかさ

朝日日本歴史人物事典 「斎藤司」の解説

斎藤司

没年:昭和12.1.25(1937)
生年:慶応1.1(1865)
明治期の農事指導者。筑前国(福岡県)鞍手郡上有木村の神官斎藤石見守重次の長男。幼くして近隣の神官から国学,理数学を学び,斎藤家が田畑作,みかん栽培,養蚕を営んでいたこともあって農業に関心をいだき,25歳のとき『発明・麦作改良新書』(1889)を著した。この内容は宮崎安貞の『農業全書』を祖述し,横井時敬の塩水選種法を主張したものだが,麦作専門書としては早い時期のものであり,また当時の福岡先進地農業を背景にした水田における麦作と菜種栽培の普及という二毛作の拡大を意図した点は評価できる。のちに郷里笠松神社をはじめ数社の神職を兼務した。<参考文献>山田竜雄「『発明・麦作改良新書』他解題」(『明治農書全集』4巻)

(佐藤常雄)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「斎藤司」の解説

斎藤司 さいとう-つかさ

1865-1937 明治時代の農業指導者。
元治(げんじ)2年1月生まれ。筑前(ちくぜん)(福岡県)鞍手郡の神職の長男。農業に興味をいだき,明治22年麦作の専門書「発明・麦作改良新書」を刊行した。宮崎安貞の「農業全書」をうけついだもので,また横井時敬(ときよし)の塩水選種法を紹介した。のち笠松神社などの神職をつとめた。昭和12年1月25日死去。73歳。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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