日本最古の料理書。1643年(寛永20)刊行。著者は不明。『続群書類従(ぐんしょるいじゅう)』飲食部に収録されている。従来の庖丁書(ほうちょうしょ)を見慣れた人たちに新鮮な印象を与え、その後の料理書にも本書から数多く引用されるなど、料理書の古典として声価は高い。第一の海の魚から第七の青物の部までは食品材料をあげて料理法を列挙、第八のなまだれだし、いりざけの部以下第九より第19まで「汁、なます、指身(さしみ)、さかびて、煮物、焼物、吸もの、料理酒、さかな、後段、菓子、茶」とあり、それぞれの代表的な料理の作り方を説明、第20は万聞書(よろずききがき)の部として、一夜ずしの仕様など、そのほか関連料理の作り方を列記している。この様式は以後の料理書の書き方に影響を与えた。
[小柳輝一]
…そうした状況の中で,日本で初めて卵料理の作り方を書いた書が登場した。《料理物語》(1643)がそれで,〈みのに(美濃煮)〉〈玉子ふわふわ〉〈まきかまぼこ〉〈玉子はす〉〈玉子素麵(たまごそうめん)〉といったものが紹介されている。美濃煮は卵を金しゃくしに割り入れ,そのまま湯煮して固まらせ,吸物にする。…
…室町期に入ると,将軍などの御成の際に供される本膳形式の料理との関連で,《四条流庖丁書》《武家調味故実》《庖丁聞書(ききがき)》のほか,《大草家料理書》《大草殿より相伝之聞書》といった料理技術を記した料理書が,四条流,大草流,進士流といった庖丁流派の成立に伴って出現する。これらは故実書,伝書として伝えられ,いずれも写本であったが,近世に入ると料理書が印刷に付せられ,1643年(寛永20)には《料理物語》が刊行されて新たな料理書の歴史が始まる。江戸初期には,《料理切形秘伝抄》のような庖丁流派の料理書も刊行されるが,流派にとらわれない料理法を記した《料理物語》が,正保(1644‐48),慶安(1648‐52),寛文(1661‐73)と繰り返して版を重ねる一方で,延宝(1673‐81)から元禄(1688‐1704)に至ると,《古今料理集》《合類日用料理抄》など体系性を備えた料理書が成立し,料理法のみならず材料の吟味や取合せの是非までもが語られるようになる。…
※「料理物語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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