断路器(読み)ダンロキ(その他表記)disconnecting switch

デジタル大辞泉 「断路器」の意味・読み・例文・類語

だんろ‐き【断路器】

高電圧の電気回路に使われるスイッチ回路電流が流れていない状態で、回路の開閉を行うために使用する。変電所などで送電系統を切り替えたり、保守点検を行う際に機器を回路から確実に切り離したりするために使用される。断路器には電源を遮断する機能はなく、遮断器電流を遮断してから、断路器を開放して回路から切り離す。ジスコンDS(disconnect switch)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「断路器」の意味・わかりやすい解説

断路器
だんろき
disconnecting switch

3000ボルトの高圧電路から50万ボルトなどの超々高圧電路に至るまで使われる、電路の「開」状態、あるいは「閉」状態を保持するために用いられる開閉器。このことから、断路器は開閉時のアークを消弧する責務はもたせていない。しかし、電流遮断能力のある遮断器に至るごく短い範囲の小さな充電電流程度は遮断できなければならない。このため高電圧用では消弧ホーンを取り付けたものがあり、これを線路開閉器とよぶ場合もある。断路器には単極と三極とがあり、単極断路器は絶縁棒(フック金具)を使う人力操作によるものが多い(図A)が、三極断路器は圧縮空気または電磁力操作によるものが多く、遠隔操作も可能である。

 断路器は電路の一部を無電圧にし電力設備の保守点検、あるいは電路構成変更の際「開」状態を保持するために用いられる。このため、遮断器や電路主要機器と直列構成あるいは母線間の連係として用いられる。また図Bで示すように、甲母線と乙母線が別の母線連絡電路等で連結されている状態では、甲母線から乙母線に切り替えるような開閉操作は、断路器で行う。

[岡村正巳・大浦好文]


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改訂新版 世界大百科事典 「断路器」の意味・わかりやすい解説

断路器 (だんろき)
disconnector

点検などのため電源から回路部分を切り離したり,または回路の構成を変更するため,母線,接続線,ブッシングの充電電流や計器用変成器,または分圧器の電流など,定格電圧のもとに単に充電された部分を流れる電流を開閉する装置。負荷電流の開閉をたてまえとしないから,直列に接続されている遮断器,ヒューズなどで負荷を切ってから開閉操作を行う。

 種類,形式は種々あり,比較的低電圧のものでは刃形開閉器に似た銅帯のブレードを用い,高電圧では銅管,鋼材の腕に銅帯を付したブレードなどが用いられる。単極80.5kVまではフック棒操作によることもあるが,多極構造では遠方操作,動力操作が一般的である。断路方式により水平切断路器(ブレードがベースに対して並行に回転動作して開閉),垂直切断路器(ベースに対して垂直に回転動作),パンタグラフ形断路器(関節機構の屈伸運動により開閉),直線切断路器などに分類される。

 定格電流,定格短時間電流,接触子温度上昇,対地絶縁強度は直列に使用される遮断器とほぼ同じ値である。同相主回路端子間耐電圧値は保安上の見地から,雷インパルス,商用周波とも対地絶縁耐電圧値の約115%の値となっている。断路器は無電流開閉を行うのがたてまえではあるが,実際には数A以下の無負荷変圧器の励磁電流・線路や母線の充電電流を,またアーク接触子付きの屋外用断路器では1000A程度のループ電流の開閉も行うことができる。しかしこの開閉能力は取付方法,風向きなどの周囲状況によってかなり影響を受ける。
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