新型交付税(読み)しんがたこうふぜい

知恵蔵 「新型交付税」の解説

新型交付税

三位一体改革一環として、地方交付税制度の改革論議が始まっている。2006年1月に竹中平蔵総務大臣の私的懇談会として設立された「地方分権21世紀ビジョン懇談会」で、新型交付税が提案された。従来の交付税が複雑な計算式によって政策誘導的に運用されてきたとの反省に立ち、従来型交付税の算定基準の簡素化と透明化を進めると同時に、面積人口を基準とする新型交付税を導入し、07年度から3年間で5兆円(総額の3分の1強)を新型に移すことを提案した。自治体の破綻法制の整備や交付税総額の削減などと共に5月の最終報告に盛り込まれた。これに対して全国知事会を中心に地方6団体は「新地方分権構想検討委員会」を設置し、地方共有税を対抗案として提示した。国の一般会計を通さず、国税5税の一定割合を特別会計に組み入れ、国の関与を排して地方自治体間で配分する仕組みである。しかし都市と地方、都道府県と市町村の間の利害関係は一致せず、最大の不交付団体である東京都の関与も薄いなかで、6団体の間の意見統一は難航している。経済財政諮問会議が策定した「基本方針2006」には「算定の簡素化」が盛り込まれたが、その内容については今後の議論を待つことになる。

(北山俊哉 関西学院大学教授 / 笠京子 明治大学大学院教授 / 2007年)


新型交付税

人口と面積を基本とする簡素な算定方法による地方交付税。竹中平蔵元総務大臣の私的懇談会「地方分権21世紀ビジョン懇談会」が提案して導入された。従来の交付税の複雑な算定方式を簡素化し、地方自治体が交付税額を予想しやすいようにすることが狙いだとされている。しかし、従来の算定方式に比べ、過疎地域や離島に対する配分額が減少し、不利になると考えられ、地方交付税が歳入の重要な部分を占めている地方自治体からは反発が出た。地方関係6団体も、地理的条件や人口構造など、地方自治体の多様性を反映した算定方法や、新型交付税の割合等について激変緩和措置を求めた。そこで、07年7月31日に決定された「平成19年度普通交付税大綱」では、基準財政需要額41兆円の12%に当たる5兆円について、「包括算定経費(新型)」を導入し、算定項目を「個別算定経費(従来型)」より3割削減する一方で、地域振興費を設け、条件不利地域への配慮等を行うとしている。

(神野直彦 東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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