新興寺(読み)しんごうじ

日本歴史地名大系 「新興寺」の解説

新興寺
しんごうじ

[現在地名]八東町新興寺

新興寺集落東方の山裾にある。真言宗醍醐派に属し、波羅蜜山と号する。本尊聖観音、脇侍延命観音薬師如来。文治三年(一一八七)一一月日の新興寺住僧等解案(新興寺文書、以下同文書は省略)に「元明天皇御宇、和銅年中草創之間、可謂当国最初寺」と由緒が記され、「延命薩之霊地、千手千眼験所也」「顕密両学于今盛也」とあり、これより前、安元三年(一一七七)三月日の新興寺住僧等解案には「延命観音之霊地」とある。またこの解案には賢救が住持であったとき大宝たいほう寺を建立釈迦如来を安置したともある。和銅年中(七〇八―七一五)の草創は確かめられないが、この由緒により行基の開基で行基自刻の延命観音・千手観音を本尊としたという伝えが生まれている(因幡志)。「当国最初寺」はともかく、平安末期―鎌倉初期には因幡では有数の真言密教寺院であったことは確かで、中世を通じ寺勢盛んであった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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