翻訳|irreducible
数学用語。あるものがより単純なものに帰着する場合,またはより単純なものに分解する場合に可約であるといい,そうでないとき既約であるという。具体的には対象ごとに述べる必要がある。(1)分数において,分母分子が共通の約数を含まないとき既約分数という。(2)群の行列表現においてそれが低次の表現を含まないときに,その表現は既約であるという。(3)代数多様体が真部分多様体有限個の和に表せないとき,既約代数多様体という。
以下,多項式の既約について説明する。n変数の多項式f(x1,……,xn)が二つの多項式の積の形に表すことができるとき可約,そうでないとき既約多項式であるという。ただし,同じ多項式でも係数をどういう範囲で考えるかによって既約かどうかが違ってくることがある。例えば,x2-2は有理数係数の多項式としては既約であるが,係数を実数まで拡張して考えればと分解する。また,x2+1は実数係数の多項式としては既約であるが,複素数係数ではと分解する。
整数係数の1変数の多項式についての既約性の判定は,一般にはむずかしいが,次のアイゼンシュタインの定理は有用である。有理整数a0,a1,……,anを係数とする多項式f(x)=a0xn+a1xn⁻1+……+anに対し,ある素数pがあって,(1)a0はpで割り切れない,(2)a1,a2,……,anはpで割り切れる,(3)anはp2で割り切れないならばf(x)は既約である。
n変数の多項式f(x1,……,xn)をx1の多項式と考え,b0(x2,……,xn)x1d+b1(x2,……,xn)x1d⁻1+……+bd(x2,……,xn)と整理したとき,x1の多項式と考えて既約であり,係数b0(x2,……,xn),b1(x2,……,xn),……,bd(x2,……,xn)に共通因子がないならば,f(x1,……,xn)は既約である。
執筆者:杉江 徹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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