約数(読み)ヤクスウ

デジタル大辞泉 「約数」の意味・読み・例文・類語

やく‐すう【約数】

ある整数に対して、その数を割り切ることのできる整数。⇔倍数

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精選版 日本国語大辞典 「約数」の意味・読み・例文・類語

やく‐すう【約数】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 整数aが整数bで割り切れるとき、bのaに対する称。〔数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書(1889)〕
  3. おおよその数。概数
    1. [初出の実例]「大抵編中の記実は、精数を詳査するべきもの少く、却て其約数を較算して、心臆に存すべきもの多し」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉例言)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「約数」の意味・わかりやすい解説

約数
やくすう

整数aが整数bで割り切れるとき、つまり、a=b×cとなる整数cが存在するとき、bはaの約数であるという。このとき、aはbの倍数である。だから、約数・倍数というのは、同じ関係の別の表し方であるといえる。

 約数については、正の整数についてだけ考えることが多い。どんな整数aについても、1とその数自身aは、aの約数である。

 正の整数、たとえば、6の約数は、1、2、3、6の4個である。一般に、aの素因数分解を、a=pαqβ……tδ(p、q、……、tは違った素数、α、β、……、δは自然数)とすると、aの約数の個数は、(α+1)(β+1)……(δ+1)である。とくに、aが素数のときは2個(1とその数自身a)である。また、aが整数の平方のときは、aの約数の個数は奇数である。

 整数はどれも0の約数といえるので、0の約数は無数にあることになる。aの約数は、aの倍数の約数になっている。また、aの約数の約数は、また、aの約数である。

 正の整数aの約数の和が、もとの整数aの2倍に等しいとき、aを完全数ということがある。たとえば、6(1+2+3+6=12),28(1+2+4+7+14+28=56)がそうである。nを1より大きい自然数とするとき、2n-1が素数のとき、2n-1(2n-1)は完全数である。2個以上の整数の共通な約数が、それらの整数の公約数である。

[三輪辰郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「約数」の意味・わかりやすい解説

約数
やくすう
divisor

自然数 mnについて,mnで割り切れるとき,すなわち mnrとなる整数 rの存在するとき,nmの約数という。負数まで考えるときは,mと-mとは互いに他の約数と考えられる。 mn分数のときも同じように考えることもあるが,普通は整数でしか考えない。整数環と多項式環とは似た性質をもっていて,多項式についても同種の概念が考えられ,この場合は「数」ではないが,「約数」の用語を流用することも多い。 mnの共通の約数を公約数,その最大のものを最大公約数 GCMという。 GCMのMは最大共通単位 greatest common measureからきている。これはギリシア時代,mnを一般の量として,mem′,nen′ (m′,n′は自然数) とするための単位 measureとして最大のものを考えたことに由来している。そして,GCMを求める方法として,ユークリッド互除法が生れた。

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改訂新版 世界大百科事典 「約数」の意味・わかりやすい解説

約数 (やくすう)
divisor
measure

自然数aが自然数bを割りきるとき,abの約数であるという。たとえば,13は52の約数である。abの約数であるとき,baの倍数である。多項式fgに対しても,fgを割りきるとき,fgの約数であるという。
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百科事典マイペディア 「約数」の意味・わかりやすい解説

約数【やくすう】

整数aが整数bで割り切れるとき,bをaの約数という。→公約数
→関連項目倍数

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