日本大百科全書(ニッポニカ) 「日前神宮・国懸神宮」の意味・わかりやすい解説
日前神宮・国懸神宮
ひのくまじんぐうくにかがすじんぐう
和歌山市秋月に鎮座。境内西に日前宮、東に国懸宮と並んで祀(まつ)られており、古来、日前国懸とあわせて称している。祭神は日前大神(おおかみ)・国懸大神。『日本書紀』神代巻の一書に、天照大神(あまてらすおおみかみ)に天岩戸(あめのいわと)よりお出まし願うのに大神の姿をかたどり「日矛(ひぼこ)」をつくったとあり、これが日前神であるという。また『古語拾遺(しゅうい)』では、「日像之鏡(ひのみかたのかがみ)」をつくったが、初めにできた鏡が日前神宮に、次にできた鏡が伊勢(いせ)の神宮に祀られる御鏡であるという。社伝では、日前大神が日像鏡、国懸大神が日矛鏡を霊代(たましろ)としているとする。天武(てんむ)天皇朱鳥(しゅちょう)元年(686)の奉幣をはじめ、国史に記事も多い。『延喜式(えんぎしき)』神名帳では両宮とも名神大社。例祭は9月26日。
[佐野和史]