改訂新版 世界大百科事典 「日本人民解放連盟」の意味・わかりやすい解説
日本人民解放連盟 (にほんじんみんかいほうれんめい)
日中戦争中,中国軍の捕虜となった日本軍兵士によってつくられた反戦団体で,日本人による戦時下の数少ない反戦運動の一つ。1939年11月山西省で八路軍の指導・援助の下に日本兵士覚醒連盟が組織され,同じころ鹿地亘によって国民党地区の重慶に本部をおく在華日本人民反戦同盟が結成された。40年5月延安にも反戦同盟延安支部がつくられ,以後八路軍の援助と野坂参三(岡野進)の指導で華北の日本人反戦組織は拡大し,42年8月覚醒連盟と反戦同盟は合流して反戦同盟華北連合会となり,また新四軍地区にも支部が生まれた。日本の敗北必至となった44年4月,反戦同盟は反戦とともに軍部打倒・日本民主化をめざすより広い政治綱領をもった日本人民解放連盟に発展的に改組され,このころ華北・華中の連盟員は二百数十名を数えた。反戦兵士の多くは,中国共産党,八路軍などの教育で侵略戦争反対の立場に自己変革を遂げた人々であったが,前線での日本軍兵士への反戦工作で犠牲となった者も少なくなかった。
執筆者:広川 禎秀
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報