広川(読み)ひろがわ

日本歴史地名大系 「広川」の解説

広川
ひろがわ

全長二〇キロ、有田郡内二位の河川。源の一は上津木かみつぎの西部丸畑まるはたに発し、上津木の中村なかむら鹿瀬ししがせ峠の北より流れてきた猪谷いだにの水を合せて上津木谷を東流する。他の一は金屋かなや修理川しゆうりがわとの境の山より源を発し、岩淵いわぶち滝原たきはらなど下津木谷を流れて上津木に入り西流して落合おちあいで合流、山間を小さく屈折しながら水量を増し、河瀬ごのせでは川幅も広くなる。前田まえだ井関いせきなど中流域の水を集め、殿との柳瀬やなせ東中ひがしなか名島なしまの各地の沖積平野を貫流する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「広川」の意味・わかりやすい解説

広川(町)(和歌山県)
ひろがわ

和歌山県中北部、有田(ありだ)郡の町。紀伊水道に面する。1955年(昭和30)広町と南広(みなみひろ)、津木(つぎ)の2村が合併して成立。1996年(平成8)町名の読みを「ひろかわ」から「ひろがわ」に変更。JR紀勢本線(きのくに線。広川ビーチ駅)、湯浅御坊道路(広川、広川南の各インターチェンジ)、国道42号が通じる。湯浅湾に注ぐ広川下流域を占め、町名は川名による。熊野街道も通る海陸の要地で、紀州守護畠山(はたけやま)氏の城跡がある。1854年(安政1)の津波のときに「稲むらの火」で村民を救った濱口梧陵(ごりょう)(1820―1885)が築いた広村堤防は、梧陵の墓とともに国の史跡に指定。景勝地天洲(てんす)松原があり、古生代化石のある名南風鼻(なばえのはな)や縄文・弥生(やよい)遺跡のある鷹島(たかしま)は釣り場として知られる。流域では野菜・果樹・花卉(かき)栽培が行われ、唐尾(かろ)漁港があり、沿岸漁業が行われている。法蔵寺の鐘楼、広八幡(はちまん)社の本殿、拝殿などは国指定重要文化財、田楽(でんがく)は選択無形民俗文化財。面積65.33平方キロメートル、人口6781(2020)。

[小池洋一]

『『広川町誌』全2冊(1974・広川町)』



広川(町)(福岡県)
ひろかわ

福岡県南部、八女郡(やめぐん)にある町。1955年(昭和30)中広川、上広川の2村が合併して町制施行、同年下広川村の一部を編入。耳納(みのう)山地西端の山地が東部から北部に広がり、南西部には長峰(ながみね)の洪積台地が起伏、西流する広川沿岸に沖積低地が開け、国道3号が通じ、九州自動車道広川インターチェンジがある。主産業は農業で、米作のほか、モモ、ブドウ、ナシなどの果実や野菜、イチゴ、茶を産し、植木や花卉(かき)生産も盛んである。竹細工久留米絣(くるめがすり)などの農村工業も活発だが、久留米方面への通勤者も増加している。国指定史跡の八女古墳群石人山古墳(せきじんさんこふん)、善蔵塚古墳(ぜんぞうづかこふん)、弘化谷古墳(こうかだにこふん)の各古墳があり、広川ダム周辺は森林浴や釣りなどの行楽地となっている。面積37.94平方キロメートル、人口1万9969(2020)。

[石黒正紀]


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改訂新版 世界大百科事典 「広川」の意味・わかりやすい解説

広川[町] (ひろがわ)

和歌山県中西部,有田郡の町。人口7714(2010)。広川下流に位置し,北西は紀伊水道,湯浅湾に臨む。広川河口南岸の広が中心集落で,江戸時代,紀州藩主徳川頼宣が広御殿を建て,寛文年間(1661-73)には大波戸(波戸場)もできて港町として発展した。房総半島や五島列島などへの出稼漁民も多く,特に九十九里浜のイワシ漁,銚子のしょうゆ醸造業の発展の基礎を築いた。現在はミカン栽培を中心とする農業が基幹産業で,花卉の栽培も行われる。紡績工場,しょうゆ工場もある。安政地震の大津波のときに村民を救い,第2次大戦前の国定小学国語読本に〈稲むらの火〉として記された浜口梧陵の出身地で,梧陵の築いた広村堤防(史)が残る。海岸は天洲松原として知られたリアス式海岸の景勝地で,西有田県立自然公園に属する。広八幡神社の本殿,拝殿などや法蔵寺の鐘楼は重要文化財。JR紀勢本線,国道42号線が通り,阪和自動車道のインターチェンジがある。
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広川[町] (ひろかわ)

福岡県南部,八女(やめ)郡の町。人口2万0253(2010)。耳納(水縄)(みのう)山地の南西に続く洪積台地と,筑後川支流の広川,長延川沿いの沖積低地からなる。西部を国道3号線が南北に通る。主産業は農業で,米のほかイチゴ,ブドウ,ミカンなどの果樹,茶,野菜の栽培が行われ,とくにブドウは県有数の生産地である。特産物として久留米絣(かすり),竹細工,植木などがある。九州自動車道のインターチェンジがあり,久留米・鳥栖テクノポリスの一角を占め,近年工業も成長している。町域南部から八女市北部にかけては人形原(にんぎようばる)台地とよばれ,八女古墳群(史)に含まれ,石人山(せきじんやま)古墳がある。
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百科事典マイペディア 「広川」の意味・わかりやすい解説

広川[町]【ひろかわ】

福岡県南部,筑紫平野東端の八女(やめ)郡の町。米,麦のほか果樹・野菜栽培,酪農を営み,久留米絣(がすり),竹製品を特産。久留米市への通勤者も多い。石人山(せきじんやま)古墳(史跡)がある。37.94km2。2万253人(2010)。

広川[町]【ひろがわ】

和歌山県西部,有田(ありだ)郡の町。広川流域を占め,湯浅湾に臨む。ミカンの栽培が盛んで,バラ,オモトの栽培も行う。漁業,林業も営む。紡績,醸造などの工業がある。紀勢本線が通じる。65.33km2。7714人(2010)。

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