日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本山海名物図会」の意味・わかりやすい解説
日本山海名物図会
にほんさんかいめいぶつずえ
産物名産案内書。著者の平瀬徹斎(てっさい)が画師の長谷川光信(はせがわみつのぶ)に頼んで実物を写させ、これに解説をしたもので、挿絵が主役の文字どおりの図会。1754年(宝暦4)刊。2人とも大坂の住民なので、約7割が近畿の産物である。鉱山の記事から始まり、ついで近郊の農産物や水産物が扱われているが、「名物」の概念が明確に整理されていないので、有名なものなら産物だけでなく、福井の石橋(橋の半分を石、半分を木でつくる)のような名所や、豊後(ぶんご)河太郎(カッパ)のような俗信なども取り上げている。名物は美濃釣柿(みのつるしがき)、宇治茶、紀州蜜柑(みかん)、尾張(おわり)大根、天王寺蕪(かぶ)、大和(やまと)三輪索麺(みわそうめん)、淀鯉(よどこい)、明石(あかし)の章魚(たこ)から捕鯨にまで及んでいる。
[小柳輝一]