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道成寺 どうじょうじ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

道成寺
どうじょうじ

和歌山県日高川町にある天台宗の寺。号は天音山千手院。俗に日高寺という。大宝1 (701) 年文武天皇勅願により大臣紀道成 (きのみちなり) が建立。義淵僧正作の千手観音立像 (国宝) を安置する。安珍,清姫伝説で名高く,境内にその旧跡がある。伝説とは,熊野参詣山伏安珍が真名古庄司のもとに宿った際,庄司の娘清姫に慕われ,激しく言い寄られ,やむなく偽ってそこを逃れ,道成寺に逃げ込んでの下に身を隠したが,清姫は怒りと執念のあまり大蛇と化してあとを追い,鐘に巻きついて安珍を焼き殺すという話。後日譚があり,この事件以来道成寺には鐘がなかったが,鐘を再興して鐘供養をしたところ,白拍子が現れ,舞を舞ううちに蛇体となって鐘を襲おうとしたが,僧たちに祈り伏せられたという。

道成寺
どうじょうじ

能の曲名。四番目物 (→雑物 ) 。作者未詳。紀州道成寺で釣鐘再興の日,白拍子 (シテ) が訪れ,拝観を願う。舞を見せるならと寺僧の許しを得,白拍子は烏帽子をつけて (物着) 舞う (乱拍子,急ノ舞) が,次第に鐘への恨みが現れ,鐘の中へ飛入る。寺の能力がびっくりして寺僧 (ワキ) を呼ぶと,僧は,昔,熊野詣での山伏に恋いこがれた真名古庄司の娘が蛇体となって,道成寺の鐘に隠れひそむ山伏を焼殺し,わが身も果てたという,鐘のいわれを語る。僧たちが鐘に祈ると,鐘の内から蛇体 (後ジテ) が現れ,障害をなすが,ついには祈り伏せられる (祈) 。

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デジタル大辞泉の解説

どうじょう‐じ〔ダウジヤウ‐〕【道成寺】

和歌山県日高郡日高川町にある天台宗の寺。山号は天音山。開創は寺伝によれば大宝元年(701)、開山は義淵、開基は紀道成(きのみちなり)。安珍と清姫の伝説で有名。鐘巻寺。日高寺。→安珍清姫(あんちんきよひめ)
謡曲。四番目五番目物。道成寺伝説などに取材し、恋に狂った女の執念の恐ろしさを描いたもの。歌舞伎舞踊沖縄舞踊などに大きな影響を与えている。→道成寺物
三島由紀夫の戯曲。をモチーフとする1幕の近代劇。昭和32年(1957)「新潮」誌に発表。初演は著者没後の昭和54年(1979)、芥川比呂志の演出による。「近代能楽集」の作品のひとつ。

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百科事典マイペディアの解説

道成寺【どうじょうじ】

和歌山県川辺町(現・日高川町)にある天台宗の寺。本尊千手観音。文武天皇の勅願により,701年(大宝1年)に紀道成が創建したと伝える。日高川伝説で名高く,《道成寺縁起絵巻》がある。
→関連項目絵解き川辺[町]

道成寺【どうじょうじ】

(1)能の曲目。作者不明(一説に観世信光作とも)。四番目物。怨霊(おんりょう)物。五流現行。恋を裏切られた女の執念を主題とする。舞い狂う白拍子が恨みの鐘にとび込むと,瞬間鐘を落下させる大胆な着想,蛇体となってからの住僧との抗争など演出の妙を尽くす。
→関連項目組踊桜間伴馬所作事日高川伝説

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デジタル大辞泉プラスの解説

道成寺

和歌山県日高郡日高川町にある寺院。創建は701年。宗派は天台宗。本尊の千手観音像は国内最古の作とされ、国宝に指定。能や歌舞伎の演目にある安珍・清姫伝説の舞台。

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世界大百科事典 第2版の解説

どうじょうじ【道成寺】

和歌山県日高郡川辺町にある寺。天音山千手院と号する。はじめ法相宗,のち真言宗に転じ,1652年(承応1)から天台宗。俗に鐘巻寺とも呼ばれる。大宝年間(701‐704)文武天皇が紀大臣道成に勅願寺として創建させたという。最近の発掘調査で金堂,講堂,塔,僧房,中門,倉庫の遺構が明らかとなり,出土瓦などから8世紀初頭の創建が確認され,寺地の裏山に古墳群があることから,豪族の私寺の可能性も検討されている。《道成寺縁起》の主人公が熊野詣修行僧であり,寺の門前が日高川の渡し場にあたることから,平安中期以降に盛んとなった熊野詣にともない,道成寺の霊験や縁起が語られ,都鄙に流布して寺名も高まったと考えられる。

どうじょうじ【道成寺】

能の曲名。四番目物。原作である《鐘巻(かねまき)》は観世信光作。シテはまなごの長者の娘の怨霊(おんりよう)。紀伊の国道成寺の釣鐘が失われてから時が久しくたった。その再興の日のこと,住職(ワキ)は能力(のうりき)(アイ)に女人禁制を申し渡す。そこへ白拍子の女(前ジテ)が来て能力に頼みこみ,舞を見せることを条件に寺内に入れてもらい,乱拍子(らんびようし)など舞ううち,隙をうかがって鐘に近づくと鐘は落下し,女はその中に消えた(〈乱拍子・急ノ舞・ノリ地〉)。

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大辞林 第三版の解説

どうじょうじ【道成寺】

和歌山県日高郡日高川町にある天台宗の寺。山号、天音山。701年の開創と伝えられる。開基は義淵。安珍あんちん・清姫きよひめの伝説で名高い。 → 安珍清姫
能の一。四番目物。恋に破れた女の恨みと死後の執念の恐ろしさを描く。紀州道成寺の釣り鐘の再興供養に女の怨霊が白拍子の姿で現れ、乱拍子を舞い、蛇体となって供養を妨げるが、僧の祈りで退散する。
によった歌舞伎舞踊。「百千鳥ももちどり娘道成寺」「傾城道成寺」「二人道成寺」「奴道成寺」など多数あるが、長唄の「京鹿子きようがのこ娘道成寺」がよく知られ、その通称となっている。

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世界大百科事典内の道成寺の言及

【鐘巻】より

…シテは白拍子,実は女の怨霊。現行演目《道成寺》の原作で,筋立ても主要部分の詞章もほぼ同じだが,次のような違いがある。道成寺の釣鐘再興の供養を拝みにきた白拍子が,女人禁制だと断られ,愁嘆する場面がある。…

【後見】より

…なお,ワキ方や囃子方各役にも演目と必要に応じて後見が登場する。顕著な例は能《道成寺》で,鐘引き後見を含めてシテ方8人,狂言方4~6人,囃子方4人の後見が動員される。【羽田 昶】(2)歌舞伎,日本舞踊で,演者のかげにいて演技の補助をする役。…

【素声】より

…能楽では,謡のクズシの音階をシラコエという立場がある。また,《道成寺》で用いられる乱拍子という舞事において,小鼓方は大部分の掛声を,裂帛の気合いをこめて発するが,音高,音量ともごく低くおさえて発する特定の声があり,それをシラコエという。【蒲生 郷昭】。…

【道成寺物】より

…日本の芸能,音楽の一系統。紀州の道成寺伝説を扱って安珍・清姫を登場させるが,能の《道成寺》の影響を受けているものが多い。単に《道成寺》と称するもの,題名中に〈道成寺〉の語を含むもののほか,清姫が蛇身となって日高川を渡り道成寺へ安珍を追うことから〈日高川〉を題名に含むものもある。…

【用明天王職人鑑】より

…5段。仏法を日本に流布させた聖徳太子の伝説を中心に,能の《道成寺》,幸若舞曲の《烏帽子折(えぼしおり)》などの趣向をとり入れている。敏達天皇の御世,同腹の皇弟山彦皇子は外道を信じ,仏法を信じる異腹の弟花人親王(のちの用明天皇)と法力比べの末に敗れた。…

※「道成寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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