明けし(読み)サヤケシ

デジタル大辞泉 「明けし」の意味・読み・例文・類語

さや‐け・し【明けし/清けし】

[形ク]
光がさえて明るい。
「―・き月影に見ゆるようなる琵琶の音の澄みわたるを」〈木下尚江良人の自白
ぬばたまの夜渡る月の―・くはよく見てましを君が姿を」〈・三〇〇七〉
音・声が澄んで響く。
「行く水の音も―・く」〈・四〇〇三〉
清らかでさっぱりしている。すがすがしい。
「今造る久邇くにの都は山川の―・き見ればうべ知らすらし」〈・一〇三七〉
はっきりしている。明瞭なさま。
四方よもを望みますに、四方―・かりき」〈肥前風土記

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「明けし」の意味・読み・例文・類語

さや‐け・し【明けし・清けし・爽けし】

  1. 〘 形容詞ク活用 〙 ( 「けし」は接尾語 )
  2. けじめがはっきりしている。はっきりしていて明らかである。あざやかである。見た目に分明である。
    1. [初出の実例]「四もを望みますに、四方分明(サヤケ)かりき〈分明を佐夜気悉と謂ふ〉」(出典:肥前風土記(732‐739頃)三根)
    2. 「待たるる月の心もとなきに、星の光ばかりさやけく」(出典:源氏物語(1001‐14頃)末摘花)
  3. 清らかである。さっぱりしている。気分的にさわやかである。すがすがしい。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「劔大刀いよよ研ぐべし古ゆ佐夜気久(サヤケク)負ひて来にしその名そ」(出典:万葉集(8C後)二〇・四四六七)
  4. 音、声などがはっきりとしてさわやかである。快い響きである。耳に快く感じられる。
    1. [初出の実例]「行く水の 音も佐夜気久(サヤケク) 万代に 言ひ続ぎ行かむ 川し絶えずは」(出典:万葉集(8C後)一七・四〇〇三)

明けしの補助注記

日葡辞書」では口語形で「Sayaqei(サヤケイ)」と出し、「気候が寒いこと、または、月が明るく輝いていること。歌語」と説明している。

明けしの派生語

さやけ‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android