明けし(読み)あきらけし

精選版 日本国語大辞典 「明けし」の意味・読み・例文・類語

あきら‐け・し【明けし】

〘形ク〙
事柄がはっきりしていて疑う余地がない。明白である。
万葉(8C後)一六・三八八六「何せむに 吾(わ)を召すらめや 明久(あきらけク) 吾が知ることを 歌人と 吾を召すらめや」
平家(13C前)三「定業又治するに堪(たへ)ざる旨あきらけし」
② けがれ、よごれ、曇り、濁りなどがなくてきれいである。清らかである。
書紀(720)白雉元年二月(北野本訓)「清白(アキラケキ)意を以て、神祇に敬奉りて」
※大鏡(12C前)一「あきらけき鏡にあへば過ぎにしも今ゆく末のことも見えけり」
③ (物事に明るい意) かしこくすぐれている。賢明である。
源氏(1001‐14頃)若菜上「かく末の世のあきらけき君として、来し方の御面をもおこし給ふほいのこと」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「明けし」の意味・読み・例文・類語

さや‐け・し【明けし/清けし】

[形ク]
光がさえて明るい。
「―・き月影に見ゆるようなる琵琶の音の澄みわたるを」〈木下尚江良人の自白
ぬばたまの夜渡る月の―・くはよく見てましを君が姿を」〈・三〇〇七〉
音・声が澄んで響く。
「行く水の音も―・く」〈・四〇〇三〉
清らかでさっぱりしている。すがすがしい。
「今造る久邇くにの都は山川の―・き見ればうべ知らすらし」〈・一〇三七〉
はっきりしている。明瞭なさま。
四方よもを望みますに、四方―・かりき」〈肥前風土記

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