〘名〙 (「差別」「区別」などの字を当てる場合もある)
① 物事の差。二つ以上のものの間にある、質的または量的な差。
優劣、
大小、多少などの差。比較される一方の立場に立って他との違いをいう場合が多い。
※伊勢物語(10C前)六三「この人は、思ふをも、思はぬをも、けぢめ見せぬ心なんありける」
※
開化のはなし(1879)〈辻弘想〉二「
文明と
未開との差別
(ケジメ)は鏡にかけて明らかならずや」
② 連続したものが変化したときに認められる、前と後との質的な違い。物事の移り変わり。変動。
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源氏(1001‐14頃)若菜下「うちつぎて、世の中のまつりごとなど、殊に変はるけぢめもなかりけり」
③ 二つ以上の物事について、内容、外観などによって区別をつけること。差を弁別すること。区別。差別。
※源氏(1001‐14頃)若菜上「雪はところどころ消え残りたるが、いとしろき庭のふとけぢめ見えわかれぬほどなるに」
※金(1926)〈
宮嶋資夫〉二「人の物か、自分の物か、けぢめさへつかなくなってゐた」
④ 守るべき規範や道徳などにより、行動や態度などにつける区別。その場その場にかなった行動をとること。節度ある態度。
※源氏(1001‐14頃)
花宴「上達部みな乱れて舞ひ給へど、夜に入りてはことにけぢめも見えず」
※冷え物(1975)〈
小田実〉「みんなで決めたことはまもらないかん。そやないと、世の中のケジメがつけへん言うて」
※源氏(1001‐14頃)
乙女「さるべき御かげどもにおくれ侍りてのち、春のけぢめも思ひ給へわかれぬを」
⑥ 間を隔てるもの。境を分けるもの。中へだて。しきり。
※源氏(1001‐14頃)若菜下「廂の、中の御障子を放ちて、こなたかなた御几帳ばかりをけぢめにて」
⑦ 他の者に比して一段と低い扱いをされること。ばかにされること。なめられること。→
けじめを食う。
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日葡辞書(1603‐04)「Qegimega
(ケヂメガ) ミエタ」