けじめ(読み)ケジメ

デジタル大辞泉 「けじめ」の意味・読み・例文・類語

けじめ〔けぢめ〕

物と物との相違区別
「やっと人間顔色の―がつくほどの光が」〈徳永太陽のない街
道徳規範によって行動態度に示す区別。節度ある態度。「公私けじめをつける」「親子の間にもけじめが必要だ」
連続する物事などの境目。区切れ。「季節けじめ
へだて。くぎり。しきり。
「こなたかなた御几帳ばかりを―にて」〈・若菜下〉
[類語]区分区分け小分け差別区別分ける分かち区割り分節細分細別区切り

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「けじめ」の意味・読み・例文・類語

けじめけぢめ

  1. 〘 名詞 〙 ( 「差別」「区別」などの字を当てる場合もある )
  2. 物事の差。二つ以上のものの間にある、質的または量的な差。優劣大小、多少などの差。比較される一方の立場に立って他との違いをいう場合が多い。
    1. [初出の実例]「この人は、思ふをも、思はぬをも、けぢめ見せぬ心なんありける」(出典:伊勢物語(10C前)六三)
    2. 「文明と未開との差別(ケジメ)は鏡にかけて明らかならずや」(出典開化のはなし(1879)〈辻弘想〉二)
  3. 連続したものが変化したときに認められる、前と後との質的な違い。物事の移り変わり。変動。
    1. [初出の実例]「うちつぎて、世の中のまつりごとなど、殊に変はるけぢめもなかりけり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
  4. 二つ以上の物事について、内容、外観などによって区別をつけること。差を弁別すること。区別。差別。
    1. [初出の実例]「雪はところどころ消え残りたるが、いとしろき庭のふとけぢめ見えわかれぬほどなるに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
    2. 「人の物か、自分の物か、けぢめさへつかなくなってゐた」(出典:金(1926)〈宮嶋資夫〉二)
  5. 守るべき規範や道徳などにより、行動や態度などにつける区別。その場その場にかなった行動をとること。節度ある態度。
    1. [初出の実例]「上達部みな乱れて舞ひ給へど、夜に入りてはことにけぢめも見えず」(出典:源氏物語(1001‐14頃)花宴)
    2. 「みんなで決めたことはまもらないかん。そやないと、世の中のケジメがつけへん言うて」(出典:冷え物(1975)〈小田実〉)
  6. 物事の境目。境界。区切れ。
    1. [初出の実例]「さるべき御かげどもにおくれ侍りてのち、春のけぢめも思ひ給へわかれぬを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)乙女)
  7. 間を隔てるもの。境を分けるもの。中へだて。しきり。
    1. [初出の実例]「廂の、中の御障子を放ちて、こなたかなた御几帳ばかりをけぢめにて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
  8. 他の者に比して一段と低い扱いをされること。ばかにされること。なめられること。→けじめを食う
  9. 偽造のもの。いつわり。
    1. [初出の実例]「Qegimega(ケヂメガ) ミエタ」(出典:日葡辞書(1603‐04))

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