日本大百科全書(ニッポニカ) 「明治丸」の意味・わかりやすい解説
明治丸
めいじまる
現役として運航中には明治天皇の御召(おめし)船として、引退後は東京商船大学(現東京海洋大学)に移管されて、同学内係留練習船として80年以上にわたる役を果たした船。二檣(しょう)スクーナー帆装付き鉄製汽船、1010.08総トン、長さ73.24メートル、幅8.96メートル、深さ6.61メートル。工務省灯台局がイギリス、グラスゴーのネピア造船所に発注して建造。1875年(明治8)2月横浜に回航され、灯台視察船として任務についた。当時1000トン以上の船は日本にほとんどなかったことから、76年の明治天皇の東北巡幸に際しては、函館(はこだて)から天皇を乗せて同年7月20日に横浜に帰着した。このため、この日が「海の記念日」として定められた(1996年、「海の日」として国民の祝日となる)。1896年に商船学校(のち東京商船大学。現東京海洋大学)に貸与、翌年移管され、三檣シップ型に改装された。その後長く係留練習船として使用されたが、1978年(昭和53)5月、国の重要文化財に指定され、東京海洋大学に復原保存されている。
[茂在寅男]